フィクション 抗日ドラマはフィクションではなかったのか私はその場から逃げ出したかった

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【フィクション】 抗日ドラマはフィクションではなかったのか……私はその場から逃げ出したかった

1: 仮面ウニダー ★ 2023/07/08(土) 14:41:57.00 ID:HZuSsAge
日本僑報社 2023年7月8日(土) 12時0分

「日本と中国は戦争をしていたのに、日本人の自分を育ててくれた中国人がいたんだよ。
人と人の間に国境は無いんだよ」。私が物心ついた頃から、口癖のように祖父は言っている。たどたどしい日本語で……。

82歳の祖父は、満蒙開拓移民として中国の東北に渡った曾祖父母の元に生まれ、5歳の時、中国残留孤児となった。
その祖父を引き取り、大事に育ててくれた中国人の養父がいたのだという。
私が、祖父のこの境遇と口癖の意味を理解できるようになったのは、ある出来事がきっかけだった。

小学生の時、母の中国留学に伴い、私も北京で3年間暮らすことになった。
北京の現地校へ通っていた私は、初めのうちは中国語に苦しんだが、多くの先生に支えられ、
すぐに仲良しの友人ができ、充実した日々を過ごしていた。

中国での滞在生活が1年を過ぎた頃のある日の国語の授業のことだった。
授業が始まり、教科書のページをめくると、「小英雄」というタイトルと共に、奇妙な挿絵が目に飛び込んできた。
赤いチョッキを着た少年が、右手に槍を持ち、大きな岩の上に立っている。
そして、その岩の少し下の方には、緑の帽子と服を身につけた兵隊らしき大人が5人。みな少年の方に槍を向けている。

少年に一番近い人の槍の先には、白い旗のような物がぶら下がっている。その旗の真ん中に、赤い丸が岩に隠れて半分だけ見えている。
挿絵が何を表そうとしているのか、この時の私にはまだわからなかった。
国語の賈先生はいつものように、しっかり聞くように、と指示を出してから、ゆっくりと朗読を始めた。

「9月16日の朝、山に沿って攻めていた日本軍が、村に迫っていました。13歳の少年が村への案内を頼まれましたが、
危険を察し、軍を袋小路へと誘導しました……」。
いつもは優しい賈先生の朗読の声が、暗くくぐもった。
「……少年は殺されました。寒い山の中、村人を守った少年の血は滴り、青い空を紅に染めました……」

教室の中はいつもより静まり返っていた。私は、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
そして、中国に来てから理解できなかった奇妙な断片的なシーンが、スライドショーのように、次から次へと頭の中を駆け巡った。

「手心手背(手の平・手の甲)、狼心狗肺(狼の心・犬の肺)!日本投降、中国万歳!」のチーム分け
(日本でいう「グー」と「パー」によるチーム分け)の掛け声は、単なる語呂合わせではなかったのか。
テレビで偶然見た抗日ドラマは、フィクションではなかったということなのか……。

点と点が繋がって線となっていくように、今まで理解できなかった数々のシーンが繋がって、
一本の大きな矢となって私の心に深く突き刺さる。急に怖くなった。日本人である自分が、責められているような気がした。

「戦争の話なんて嫌だ。早く終わってくれ!」。早くその場から逃げ出したかった。教室を飛び出して、誰もいない所へ行きたかった。
「早く終わってくれ!早く終わってくれ!」。必死に祈った。中国に来てから、40分間の授業がこんなに長く感じたことは、初めてだった。

ー後略ー

Record China
https://www.recordchina.co.jp/b916909-s10-c60-d0052.html

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