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【W解説】米韓首脳会談めぐる評価で、韓国の次官級の公職者から出た日本との比較
国立外交院のキム・ジュンヒョン(金峻亨)院長は24日、韓国のラジオ番組に出演し、米韓首脳会談と先月の日米首脳会談を比較した上で、「外交的にもそうであるし、実質的協力の部分でも今(米韓関係に)日本が入り込む隙はないということが如実に証明された」と語った。
言うまでもなく日米関係、米韓関係はそれぞれ独立した関係で、そもそも入り込むか否かの類のものではない。日本が米韓関係に介入しようとの意思を示しているわけでもない中、突如として飛び出したこの発言は、真意がどこにあるのか疑問だ。
ムン・ジェイン(文在寅)大統領は、米韓首脳会談で、バイデン大統領から韓国軍55万人への新型コロナワクチンの提供を確約されたことや、半導体やバッテリー事業などへの44兆ウォン(約4兆円)規模の米国投資計画で、技術協力や市場規模の拡大につなげたことなどを成果として挙げている。
これを念頭にキム院長は「今、われわれは米国と対等に交わすことができる協力関係にあるが、日本には少なくともワクチンや(半導体などの)技術協力においては入り込む余地がないことが証明された」とし、「素材や部品では日本が確かに優位であるが、競争力がかなり落ちている」とまで言い切った。
キム氏が院長を務める国立外交院は韓国外交部(部は日本の省に相当)の傘下にある外交官養成機関。院長は次官級の待遇を受ける公職者だ。
キム院長は韓国のヨンセ(延世)大学政治外交学科を卒業後、米国のジョージ・ワシントン大学で政治学修士号、博士号を受けた。
韓国のハンドン(韓東)大学国際語文学部の教授で、米韓関係など国際政治分野の専門家として知られる。大統領直属の政策企画委員会の平和繁栄分科委員などを務め、2019年8月に国立外交院の院長に就任した。
キム院長をめぐっては、今年3月に公開した著書「永遠の同盟という逆説~新たに読む韓米関係史」で米韓同盟を否定する内容を記したことが物議を醸した。
韓国の中央日報は4月1日付の社説で「果たして彼がそのような職を引き受ける資格があるのかどうかに対して、根本的な疑問を投げかけている」と批判。「任命権者である大統領もキム院長が果たして今の職責にふさわしい人物なのか真剣に悩まなければならないだろう」と記している。
キム院長は、日本政府による韓国への輸出管理強化をめぐって、韓国が報復として破棄を通告、その後、破棄の通告期限を迎え自動延長した軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について、この問題が日韓でぎくしゃくしていた2019年、「日本の姿勢次第で協定は明日にも、1か月後にも終了できる」との発言もしている。
米韓首脳会談について、日本を根拠もなく持ち出し、比較した今回の発言も院長の職である立場から適切なものだったか疑問が残る。
半島は長い時間、大陸・半島・列島の順番で儒教的な世界観の序列を設定し、大陸に対する敗北感を列島に対する優越感で補ってきた。その儒教的な秩序をひっくり返したのが127年前の日清戦争。
やはり歴史は繰り返されるようで、ここ数年間、半島はあの状態に回帰しようとしている。米韓首脳会談後、政権の動きもその通りだ。半島に自由と平和と繁栄をもたらしてきたのは「大陸勢力」ではなく、日米の「海洋勢力」だった事だけは忘れてはいけない。
WOWKorea 2021/05/26 22:20配信
https://s.wowkorea.jp/news/read/300954/