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「あまちゃん」東京編スタート!視聴率低迷のワケとは?
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あまちゃんアンコール〜連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック 3〜 【SPOT】
(出典 Youtube) |
東京の景色に「じぇじぇ!」と驚いていたのはヒロインのアキばかりではなかったようだ。
6月26日に再放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」第73回では、物語の舞台が岩手・北三陸から東京・上野へと大きく変わることに。アキ(能年玲奈)がアイドルを目指す姿を描く「東京編」がスタートした。
アキが到着したのは東京・上野の「東京EDOシアター」。アイドルグループ「アメ横女学園」の専用劇場であり、芸能事務所ハートフルの水口(松田龍平)が手掛ける「GMT47」のレッスン場(通称:奈落)も用意されている場所だ。
水口はアキに劇場のスタッフを紹介し、館内を案内。華やかな劇場に胸がときめく一方でアキは、先輩メンバーたちによるいかにもアイドルらしい自己紹介に面食らい、自信を失っていた。
しかも、ここで失われたのはアキの自信だけではなかったという。なんと、視聴者の支持さえも失っていたというのだから驚きだ。
「本放送では前々週に21.6%だった平均視聴率が、アキの東京行きが確実になった前週には20.9%へと低下。そして東京編が始まった第13週には20.8%とさらに数字を落としていたのです。しかもシーズン平均視聴率の20.6%は、2013~2014度年に放送された4作品の中で最低の数字となっています」(テレビ誌ライター)
朝ドラ史に残る傑作との呼び声も高く、放送終了後には「あまちゃんロス」を生み出すなど、社会現象と言える人気を呼んだ本作。ところが数字面では決して、大人気作ではなかったというのが実情だ。
かつて平均視聴率が10%台にとどまっていた朝ドラは、2012年前期の「梅ちゃん先生」で平均20.7%を記録し、20%台を回復。次作の「純と愛」は振るわなかったものの、「あまちゃん」からの4作品はいずれも20%の大台を突破していた。
その数字は「あまちゃん」が20.6%、杏の「ごちそうさん」が22.3%、吉高由里子の「花子とアン」が22.6%、そして初の外国人ヒロインとなったシャーロット・ケイト・フォックスの「マッサン」が21.1%という結果に。この4作品で「あまちゃん」の数字が最も低いことに驚く人も多いことだろう。
なぜ「あまちゃん」の視聴率は、その話題性ほどには上向かなかったのか。それは東京編がスタートした第73回の内容を見れば、一目瞭然だというのである。
「第73回は朝ドラとは思えないほどに、アイドル界の実情を反映した内容となっていました。なかでもアイドルに関する知識がゼロの中高齢層を驚かせたのはGMT47メンバーによる独特の自己紹介や、『アメ女八賢伝』を頂点とするメンバーたちのピラミッド構造など、数々のアイドルあるあるだったのです」(前出・テレビ誌ライター)
それらのアイドルあるあるは、アイドルに関心のある視聴者であれば大きな興味を持って楽しめたもの。実際のAKB48劇場を知る者なら、再現度の高さに驚いていたに違いないだろう。
ところが朝ドラのメイン視聴者は50代以上の女性が中心で、アイドルには縁もゆかりもない人たちばかり。そんな中高齢層にとっては、自分の想像がまったく及ばない世界を描いた話に「あまちゃん」が変容してしまったのである。
「それまでは岩手での田舎暮らしと、親子三代の確執を描いていた『あまちゃん』。アイドル要素に関しても、孫娘の活躍ぶりに目を細める感覚で楽しむことができました。ところが東京編になったとたん、物語はアイドル業界そのものの描写に変容。多くの視聴者にとっては全く未知の世界であり、興味も持てないことから、『理解できない物語』として離脱してしまう視聴者も少なくなかったのです」(前出・テレビ誌ライター)
前述のようにアメ横女学園周りの描写は、アイドル好きにとっては納得のいく作りこみがなされている。よくぞNHKがここまでアイドルを真正面から描いてくれたと喜ぶ視聴者も少なくなかったものだ。しかしそれは諸刃の剣だった。アイドルを精緻に描けば描くほど、離脱してしまう視聴者もいたのである。
それでも結果的に伝説的な作品となり、「じぇじぇじぇ!」で流行語大賞も受賞した本作。メイン視聴者を取りこぼしてでも、面白いドラマを作りたい。東京編での「あまちゃん」には制作側の強い意志が込められているに違いないだろう。