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「通信の秘密の保護」に制限検討 サイバー攻撃への対処、政府が強化
サイバー攻撃への対処能力を強化するため、「通信の秘密の保護」を規定する電気通信事業法など複数の法改正を政府が検討していることが分かった。来年の通常国会にも関連法改正案の提出をめざす。政府は今夏以降に有識者会議を立ち上げ、年内をめどに能力強化をめぐる課題を集中的に議論する方針だ。
複数の政府関係者が明らかにした。法改正は「通信の秘密」を保障する憲法21条との兼ね合いなど課題が多い。海外での攻撃的なサイバー活動の是非のほか、国内では政府による市民の監視にもつながりかねないなど、議論を呼びそうだ。
現在、海外からのサイバー攻撃には、防御や事後の対処といった受動的な対応にとどまっている。政府は、中国やロシア、北朝鮮などを念頭に、昨年12月に改定した国家安全保障戦略で「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」「能動的サイバー防御を導入する」と明記した。サイバー攻撃を防ぐため、民間の通信事業者の通信に関する情報を活用することや、「攻撃者のサーバーなどへの侵入・無害化」のために政府の権限を付与することなどを盛り込んだ。
こうした方針を受け、政府は「能動的サイバー防御」を実現するため、電気通信事業法4条が定める通信の秘密の保護に、一定の制限をかける法改正を検討する。本人の承諾なくデータへアクセスすることを禁じた不正アクセス禁止法、コンピューターウイルスの作成・提供を禁じた刑法の改正も視野に入れる。
また、通信や電力、金融などの重要インフラや政府機関を狙ったサイバー攻撃を防ぐため、海外のサーバーなどに侵入し、相手のサイバー活動を監視・無害化するため自衛隊法を改正するかどうかも検討する。
朝日新聞
https://www.asahi.com/sp/articles/ASR6R6W9YR6QUTFK016.html