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【岸田政権】 日韓スワップ再開が急浮上 レーダー照射事件も棚上げのまま どこまで韓国に譲れば…
金融危機の際に外貨を融通する仕組みだが、脆弱(ぜいじゃく)な通貨ウォンを抱える韓国を助けるだけで、日本側にメリットはない。
そもそも日韓通貨スワップは韓国側の暴挙をきっかけに規模が縮小、2015年に韓国側が一方的に破棄した経緯がある。
岸田文雄政権は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に対し、輸出手続きを優遇する「グループA」に再指定したほか、
韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射事件も棚上げしたままだ。どこまで韓国に譲れば気が済むのか。
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韓国の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相兼企画財政相は8日、日韓の財務当局が29日に東京で開く「財務対話」で、
日韓通貨スワップ協定の再開を議論する考えを明らかにした。「最善を尽くして意味のある結果が出るようにする」と強調した。
日韓スワップ協定は、成り立ちからして、〝弱い韓国〟を救済する仕組みだ。
1990年代後半のアジア通貨危機で韓国経済が事実上破綻し、国際通貨基金(IMF)に救済された。
これを受けて日韓通貨スワップは2001年に締結され、11年に700億ドル(約9兆8000億円)規模まで融通枠を拡大した。
ところが12年に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が、韓国が不法占拠する島根県・竹島に上陸するなど日韓関係の悪化とともに規模が縮小した。
朴槿恵(パク・クネ)政権当時の15年には、日本側の忠告にもかかわらず韓国側が一方的に破棄した。
・松木國俊氏「尹政権は〝保険〟かけてきた」
16年に協議再開が決まったが、今度は釜山(プサン)の日本総領事館前に設置された慰安婦像を韓国が撤去できず、協議は中断したままだ。
日本にとっては韓国とのスワップがなくても何の問題もない。
韓国も国民1人当たりの国内総生産(GDP)が日本に接近するなど〝経済大国〟ぶりをアピールしているが、
事あるごとに財界や政界から日本との通貨スワップ再開の声が出ていた。
韓国側の事情について、朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「韓国経済は貿易赤字や、予想よりも低い成長率、インフレが進んでおり、
外貨が逃避する可能性もあるなど課題が多い。尹政権はこのタイミングで〝保険〟をかけておきたいのだろう」との見方を示す。
米国が金融引き締めを加速させたことで、世界の新興国から米国へ資金が流出している。
韓国当局はウォンの暴落を防ぐために為替介入を繰り返しているとみられ、今年5月末時点の外貨準備高は
前月末から57億ドル(約8000億円)減の4209億8000万ドル(約59兆円)と、昨年9月以来の大幅減に見舞われている。
韓国経済は昨年10~12月期がマイナス成長、今年1~3月期も0・3%と低成長にとどまった。
親密だった中国との関係も薄れ、輸出の前年割れも続いている。
こうした状況で日本にすり寄ろうとしているというのが韓国側の都合だが、問題は日本側の一連の対応だ。
岸田首相は尹大統領とシャトル外交の再開で合意し、広島G7サミットにも招いた。
輸出管理では優遇措置の対象国となる「グループA(旧ホワイト国)」に韓国を再指定し、
レーダー照射についても事実関係の解明を棚上げして防衛交流を進めるなど、なし崩し的な対応を重ねている。
前出の松木氏は「最近の岸田政権の態度をみると、両国間の懸案を棚上げし、関係改善に前のめりになっている。
スワップ再開に協力する場合も、必要な理由について言質を取り、韓国側からの『お願いベース』とすべきだ。
そうしないと再び関係が悪化した際、韓国は『日本が求めてきたものだ』などと言い出しかねない。
歴史問題やレーダー照射など経済以外の分野でも日本の立場を示し、譲らない姿勢をみせることも重要だ」と語った。
夕刊フジ 2023.6/12 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20230612-TGKFKMJX6BMHHM4GT4PYFPNFQE/