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【CNN】習主席の中国サッカー大国化計画はなぜ失敗したのか
習氏は、サッカー界最高の栄誉であるワールドカップ(W杯)に狙いを定め、男子代表チームのワールドカップ優勝に向けた3段階の計画をまとめた。その計画とは、まずワールドカップへ2度目の出場を果たし、次に中国でワールドカップを開催し、最後にワールドカップで優勝するというものだ。
当時、世界の上位70カ国にも入っておらず、1957年に初めてワールドカップの予選に出場して以来、本大会出場はわずか1回という中国にとって、ワールドカップ優勝という課題の大きさは計り知れなかった。
しかし、2016年に中国サッカー協会(CFA)が、50年までに中国を「世界のサッカー超大国」にする計画を発表した時、習氏の決意に疑念を抱いた人はほとんどいなかっただろう。
その後、習氏やCFAの言葉を裏付けるように、中国サッカー界に投じられる資金が急増し、世界中の選手やファンたちを驚かせた。中国の不動産ブームで大もうけした政府系の複合企業や不動産開発業者らが国内最高峰のプロサッカーリーグに資金を湯水のごとく投入した。
その結果、海外のスーパースターたちが高額な報酬を求めて中国スーパーリーグ(CSL)に集まった。
やがて、CSLは支出額で欧州最大のリーグと肩を並べるようになった。好況だった15~16年には、移籍金の総額が4億5100万米ドルに達し、世界で最も支出額の多いリーグのランキングで上位5位に入った。
しかし、習氏が初めて自身の夢を語ってから10年以上が経過し、中国サッカーの運勢は、かつての急上昇と同じ速度で急落している。財務上のお粗末な決断や高官らの汚職疑惑、さらに3年に及ぶ新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で、中国サッカー界は壊滅状態に陥っている。
(略)
資金の枯渇
新型コロナ対策の行動制限が選手たちに苦しい生活を強いる一方、パンデミックは、彼らに給料を支払っている企業にも混乱をもたらした。
中国不動産大手、恒大集団は、中国政府が不動産開発業者に対する規制を強化したことにより経営危機に陥り、21年に経営破綻(はたん)した。同社の破綻は、中国の不動産市場に史上最悪の危機をもたらした。
恒大集団が所有する男子サッカーチーム、広州恒大は22年に選手の給料を満額支払うことが不可能となり、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)を2度制した同クラブは、中国2部リーグに降格した。
無観客のスタジアムは、入場料収入だけでなく、スポンサー契約にも影響を与えた。また中国経済が打撃を受けたことにより、複合企業や不動産開発業者も使える資金が減った。
しかし、全ての問題が新型コロナウイルスのせいというわけではなく、中には単なる経営判断のミスもあった。
CFAは、中国の才能ある選手を育成するため、17年に海外選手を獲得するための支出に対する課税を強化した。具体的には、700万米ドル以上支出したクラブに、支出額と同額をCFAに支払うよう義務付けた。その結果、クラブは支出額を大幅に減らし、それが観客動員数の減少やスポンサー離れにつながった。
その影響は甚大で、クラブは帳尻合わせやスター選手らの高額の給料のねん出に苦労し、次々と廃業を余儀なくされた。
ヤフーニュース(CNN)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6fac1029208f35b48e6a2d15bb29a1296d8e94dc?page=1