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【米国】「中国包囲網」に韓国引き寄せ 北朝鮮と対話再開は困難か
4月の日米首脳会談の共同声明も52年ぶりに台湾問題に言及し、中国は「内政干渉だ」と不満を訴えた。今回の米韓共同声明は中国の名指しこそ避けたものの、「(両首脳が)台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する」と明記。米韓共同声明に台湾が盛り込まれるのは初めてとされ、米側の意向が強く反映された格好だ。
共同声明は中国が警戒を強めるクアッドなどの重要性を指摘したほか、南シナ海の「航行の自由」にも言及。また、米韓ミサイル指針が撤廃され、韓国が射程800キロ以上の中距離ミサイル開発をできるようになったことも、中国を刺激するとみられる。
北朝鮮問題では、2018年6月の米朝首脳によるシンガポール共同声明や、南北首脳による同年4月の板門店宣言を土台とした外交・対話が強調されるなど韓国側の主張が受け入れられた。一方で、対北朝鮮制裁を定めた国連安保理決議の「完全な履行」や北朝鮮が嫌がる人権問題も盛り込まれ、文在寅政権が期待した南北対話再開への呼び水にはなりそうもない。
バイデン大統領は金正恩総書記との首脳会談について、「核問題への意志を見せるなら、会うこともできる」と非核化への行動を前提条件として提示。交渉担当者としてソン・キム北朝鮮担当特使の任命が発表されたものの、「北朝鮮が対話のテーブルに着く可能性は低い」(韓国の専門家)。
米韓共同声明は「北朝鮮への対応などのための日米韓3国協力の重要性」も指摘。文大統領は日韓関係の改善を迫られた形だが、残り任期1年を切り「レームダック(死に体)化」が進む中、徴用工問題などの解決へ具体的な行動に踏み出せるかは不透明だ。
時事ドットコム 2021年05月23日07時09分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021052200445&g=int