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予想外だった吉田正尚の大ブレイク 米関係者が「半分以下」と見ていた価値をレッドソックスはなぜ見出せたのか?
現地6月6日に敵地で行なわれたガーディアンズ戦で吉田正尚(レッドソックス)は「2番・レフト」で先発出場。チームが5-4と競り勝った試合で、5打数3安打と目に見える結果を残した。
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この日は20年にサイ・ヤング賞を受賞した歴を持つ実力派右腕も攻略した。相手先発のシェーン・ビーバーだったが、「どんどん振っていこうと思った」という吉田は初回の第1打席に外角低めへのチェンジアップを捉えてセンター前ヒットを記録。さらに3回の第2打席には真ん中高めへの91.8マイル(約147.7キロ)の4シームを巧みにレフト前にはじき返した。
そして、6回に迎えた3度目の対決では、低めに食い込んできた83.4マイル(約134.2キロ)のスライダーを強振。痛快に右中間を破るツーベースとした。
メジャーでも屈指の実力を兼ねる右腕も攻略した吉田。これで打率はボー・ビシェット(ブルージェイズ)に次ぐアメリカン・リーグ2位の.319と向上。さらに長打率は.502、出塁率.393にまで上げた。もう“野球の本場”で十分に通用していると言っていい水準だ。
もっとも、吉田は開幕当初は極度のスランプに悩まされた。5年9000万ドル(約126億円)で入団した背番号7だったが、4月19日時点までは打率.167、いまでは5割台となっている長打率も.250にまで低迷していたのである。
ゆえに現在の活躍を驚く者もいるだろう。実際、米スポーツ専門メディア『Bleacher Report』は“ある球団関係者”のコメントとして「我々はヨシダの価値がレッドソックスの支払った半分以下だと見ていた」と紹介。そのうえで「彼の契約ほど予想する者たちを欺くものはない。レッドソックスがこの29歳の日本人と契約を結んだ際に球界全体に漂っていたのは、『呆れた』という表現がふさわしい雰囲気だった」と振り返っている。
レッドソックスには確固たる自信があったに違いない。昨年に吉田を視察するために、敵地での楽天戦を訪れた彼らは、なんと球場に隣接されている観覧車からもスカウティング。のちに統合担当副社長のガス・クアトルバウム氏は「幸運な出来事だったが、あれで見方が変わった」と振り返ったほどの分析を行なっていたのだ。
そうした背景を考えれば、熱心なスカウティングと交渉を続けたレッドソックスにとって、吉田のブレイクは必然。周囲の反響も十分に織り込み済みだったと言えよう。
ルーキーイヤーでの首位打者となれば、マリナーズ時代のイチロー氏(会長付き特別補佐兼インストラクター)以来史上2人目だ。奇しくもボストンは、同じ左打者で、「打撃の神様」と称された往年の大打者テッド・ウィリアムズが輝いた舞台。そんなゆかりの地で、吉田が歴史的な偉業を成し得るかを今後も興味深く見守りたい。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf268a4450d0c813e9c7c7bdbb22efd11ff80835