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米国に乗り込む文在寅、「日本側の原因」を会談で提起? 米国の専門家「告げ口外交を再現するだろう」
(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
韓国の文在寅大統領が5月21日、米国のジョセフ・バイデン大統領とワシントンで会談する。この米韓首脳会談では、米韓同盟の強化や北朝鮮の核問題、中国への対応などが主要な議題になると同時に、日韓関係の改善も論じられるとみられる。
その際、文大統領は日本側の「非」をバイデン大統領に訴え、日本に対して有利な立場に立とうとする「告げ口外交」を再現するだろう、という予測が米国の専門家の間で語られている。
■ 「米国カード」で巻き返しを図りたい文大統領
バイデン大統領は、5月21日に韓国の文在寅首相をホワイトハウスに迎えて会談を行う。対面で会談を行う外国首脳は、日本の菅義偉首相に続いて2人目である。
会談の実施を公式発表したホワイトハウスのサキ報道官は、「バイデン大統領は米韓同盟を強化し、両国間の協力をさらに拡大するために文大統領と協議することを待望している」と述べた。同時に両国政府筋から、今回の米韓首脳会談では、気候変動への対応や新型コロナウイルスの拡大防止などについて協議がなされる見通しが表明されている。
文大統領も4月末にニューヨーク・タイムズのインタビューに応え、バイデン大統領との会談では、「米国政府が朝鮮半島の非核化のために北朝鮮との交渉を再開し、その非核化のために中国との協力を進めることを望む」という意向を表明した。
しかし米韓関係はトランプ前政権の後半から冷却化の一途をたどり、近年では最悪の状態にある。とくにトランプ前大統領と文大統領は、米韓同盟や北朝鮮の非核化という主要課題をめぐって見解が一致せず、距離を広げていた。この距離はバイデン政権が登場してもなお埋まってはいない。バイデン政権は早い時期にブリンケン国務長官、オースティン国防長官らを韓国に送り、文政権との関係修正を図ってきたが、その過程で文政権の中国に対する融和的な姿勢や北朝鮮への制裁緩和を求める傾向に不満を表明してきた。
一方、文大統領は米国の新政権との協調と対米同盟の強化に最大の期待をかけるようになってきている。というのも、文大統領は残りの任期が1年ほどとなり、支持率が政権誕生以来最低という厳しい状況に直面している。自己の政治的存続のためにも「米国カード」「バイデン・カード」を武器にして、巻き返しを図りたいところだ。そのため文政権は、バイデン政権に対してできるだけ早い時期のワシントンでの会談を求めてきた。それだけに、日本の菅首相が先んじてワシントンを訪れ、バイデン大統領と首脳会談を行うと、韓国内では批判や羨望を強くにじませる反応が出ていたのである。
■ 「日本側の原因」を会談で提起?
しかし、バイデン政権は韓国に対して、米韓同盟の強化、北朝鮮の非核化への協力、中国への対応の是正などとともに、日本との関係の改善や米日韓3国の安保協力態勢の強化を求めてきた。バイデン政権の日本と韓国へのこれらの期待は、ブリンケン国務長官やサリバン大統領安全保障担当補佐官の公式の言明でも再三繰り返された。だから5月21日のバイデン・文会談でも、日本にからむこの議題は当然提起されるとみられる。
(略)
ヤフーニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/2cef36d8b4f1f7a1625cbacecd440653b00b74cf