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「無能なのに、なぜか出世している会社員」に実は共通している5つの特徴――大反響・総合トップ10 | ニコニコニュース
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日刊SPA!で反響の大きかった2022年の記事をジャンル別に発表してきたが、今回は総合トップ10。初回とランキング発表時の反響をあわせて集計、本当にスゴかった記事を発表する。惜しくもトップ10に届かなかった次点はこちら!(集計期間は2022年1月~2023年3月。初公開日2022年12月27日 記事は取材時の状況。同一連載からは1記事のみランクイン)
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企業再生コンサルタント兼プロ経営者の中沢光昭と申します。コンサルティング会社や投資ファンドに長く勤めたあと、業績の悪い会社をよくするために、コンサルティングだけでなく、クライアントの要望に沿うために、雇われ経営者も投資家も同時に行い続けております。
会社の非常時になって改めてむき出しになる会社員の欲や栄枯盛衰の実態をたくさん見てきました。実際に目の当たりにした情報をもとに、会社員にとって実効性のある情報をお伝えしたいと思います。
◆サラリーマンにとって「出世」は最大の関心事
会社員生活を過ごすうえで切っても切り離せないのが「出世」です。実際にどこまで渇望するかは人それぞれの価値観によりますが、何も気にしない人はいないでしょう。
若い頃から一所懸命頑張って誰もが認めるような成果を出して順調に出世する人もいれば、思い通りいかなくて苦しむ人もいるかと思います。
自分はそんなに望まないけど、人間模様含めた他人のことは関心あるという人もいるはずです。
◆外資系企業でも実は珍しくない「謎の出世」
そして、よく見かけるのが、「なんであの人が課長/部長になれているんだろう?」というようなケース。私が関わるような業績の悪い中小企業でも見かけますが、年功序列でもない、外資系の会社とかでも実は珍しくありません。
今回はそんな成果を残しているわけでもなく、特に頭がキレるわけでもないのに、なぜか出世している人に共通する特徴を紹介したいと思います。
出世欲が強い若手からすると許しがたい存在なのは間違いありませんが、「のんびりと過ごしたいけど、惨めな会社員生活は嫌だからそこそこだけ出世したい」というような緩めの会社員の皆さんなどの参考になれば幸いです。
◆特徴①「反論しない」
まず、とても穏やかな人が多いです。たとえば、会議の場で上席や別の部門から注意されたり、揶揄されたりするようなことを言われても、「申し訳ない」というような神妙な顔をして黙っています。
周りが見てて「え? わかってるのかな?」とちょっとハラハラするような空気で「はい、すいません」とだけ返事するパターンもありますが、共通するのは反論や言い訳を一切しないことです。
◆憎めないような空気感をまとう
上席からすると最高潮にイラつく瞬間もありますが、たまに、ちゃんと話を聞いてみると「それ、ちゃんと釈明してくれてるほうがよかったんだけど?」という同情を誘うような場面もあったりします。
憎めないような空気感をまとうための具体的なアクションが「とりあえず何も反論しない」ということに集約されています。
その態度は褒められることはなくても、限度を超えて怒られることもないのでしょう。
◆特徴②「チャレンジングな仕事は積極的にはしない」
いわゆる意識の高い社員が持つような出世欲のようなものが根本的にないために、仕事において挑戦することもありません。
新しいことをやらないというだけでなく、怒られでもしない限りは従来のやり方を変えようともしません。
◆やらなきゃいけないことは粛々とこなす
こう書いてしまうとすごくサボっているかのように見えてしまいますが、そうではありません。やらなきゃいけないことは粛々とこなします。ただ、それ以上のことはしない、というだけです。
結果的に失敗する記録も残らないので、人事評価もプラスにはならないものの、マイナスにもなりにくいです。「ノープレー、ノーエラー」を自然体で継続します。
◆特徴③「とにかく辞めない」
社歴が長い人が多いです。既得権や特殊な技術でもない限り、会社員というのはいいとき悪いときがあり、個人の生活事情においてもお金が足りなくなったり、不本意な転勤や異動があったりと、長くいればいるほど辞めることを考える機会はあります。
しかし、そうした不思議と出世している人は辞めるという選択をしませんでした。
◆「最低限の安心感」が決め手になる
実態としては転職しようとしても転職先がなかったりということもありますが、上席から見た場合には、最低限の安心感はあります。
そうして長く在籍していると、ポカンとポストが空くことに遭遇します。
ポストを埋める人材候補の顔ぶれを上席から見た際、能力の差がよくわからなければ、「裏切らない」または「後任を探さなければならなくなるという面倒ごとのリスクが小さい」という安心感が決め手になったりします。
◆特徴④「足るを知る」
会社では「部長より課長のほうが優秀」という状況はたまに見かけます。社歴や年齢がすごく離れているか、もしくは課長が中途採用者だったりするケースによく起こりがちです。
前者の場合は部長も鷹揚に構えて「よしよし」という温かい目で見ていますが、後者においては緊張感が漂っています。部長としては採用したくなかったのに、人事もしくは本部長以上のレベルで「勝手に採用しやがって」とすら思っていることもあります。
組織として見た場合には部下が優秀というのは頼もしい限りの状態ですが、部長当人にとってはいつ自分が横にどけられるか下に落とされるのかという不安要素になります。
◆緊張感が生まれず、余計な諍いも起きない
しかし、「なんであの人が出世?」系の人は、山っ気がありません。役職がひとつ上がって給料が一段上がったことに対しては「自分なんかで、ありがとうございます」と謙虚且つ純粋に感謝し、それ以上を望みません。
そのため、「部長より課長のほうが優秀」という状況になっても緊張感が生まれず、余計な諍いも起きないわけです。
つまり上席にとっては絶大なる安心感があります。組織としてあるべきかどうかは別の話ですが。
◆特徴⑤「部門の人材レベルが低いけど、仲は悪くない」
当然のことに聞こえると思いますが、「なんであの人が出世?」系の人の部門は、所属しているほかのスタッフも似たようなキャラクターか、プラスよりもマイナス評価のほうが大きい人で占められています。
現在のポストに就けた理由の最大の要因は「安心感」なので、相対的に安心感に欠けるタイプのメンバーに自然と囲まれることが多いわけです。
◆穏やかな性格や人間性が試されてきた結果
ただ、ポイントとしては、そういったメンバーを部下に抱えても険悪な空気にはなりません。
なぜなら仲が悪い状態になっていると、「私のほうが課長の**さんよりもできるのに、どうして!」といったような不満が爆発したりして、上席の頭を悩ませることになります。
そうした状況にならず、常に一定の安心感を得られているわけであり、そこは穏やかな性格や人間性が試されてきた結果になっています。
◆「欲を出さず穏やかに無難に過ごし続ける」でも出世する
いかがでしょうか? 純粋に頑張って出世を目指している人からすると、「なんだそりゃ」と思うこともあるかもしれません。されど、必ずしもあるべき姿にならないのが会社組織であり、世の中です。
そして、残念ながらスピード出世した若手ホープのA課長と、残存者利益のようにして高齢になってから昇格したB課長とでは、給料の差はほとんどありません。日本的な会社であれば、年次が低い分、A課長のほうが相応に安かったりもします。
ゴリゴリと結果を出し続けること以外にも「欲を出さず穏やかに無難に過ごし続ける」だけという出世につながるかもしれないひとつの道が存在することは、会社員生活において知っておいても損はないことでしょう。
【中沢光昭】
株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある