あわせて読みたい
【画像】セクシーすぎる人魚の彫像が物議をかもす。イタリアの美術学校の生徒が制作 |
【画像】セクシーすぎる人魚の彫像が物議をかもす。イタリアの美術学校の生徒が制作 |
作り手のイメージによって、出来上がる作品が著しく異なるのが芸術だ。でもって、完成した作品は、必ずしも万人受けするというわけではない。
今回、イタリアの美術学校の生徒たちによって制作された人魚の彫像が、物議をかもしている。
一般的な人魚のイメージとかけはなれて、その彫像の胸とお尻があまりにもたわわ過ぎることから、困惑と批判を呼んだようだ。
【画像】 学生たちが作成した人魚像が挑発的過ぎると物議をかもす
イタリア南部プーリア州モノポリにあるルイジ・ロッシ美術学校の学生たちが作成した人魚の彫像が、科学者のリタ・レヴィ=モンタルチーニにちなんで名付けられた漁村の広場に設置された。
その人魚像は、大きな胸とお尻を持ち、一般的に認識されている人魚像とは少々異なっていた。
SNSで画像がシェアされると、当惑と嘲笑が広がり、「セクシーすぎる」「非常に下品」「女性の不快なイメージでしかない」「挑発的すぎる」と批判され、物議をかもす事態に。
[もっと知りたい!→]一体誰が、何の目的で!?山頂に屹立する巨大な木製の息子スティックが発見されて大騒ぎに(オーストリア)
確かに、彫像は曲線美を描いて、大きな胸とお尻を持っている。正面から見ると、ほとんどの人が、最初に胸に目を向けてしまうかもしれない。
バーリを拠点とする俳優のティツィアナ・スキャヴァレッリは、フェイスブックに「この作品を依頼した美術学生や地方議会とは何の問題もない」と強調したうえで、このように困惑を綴っている。
シリコン製の胸が2つある人魚のように見え、何よりお尻が人魚では見たことのない大きさです。これは、少なくとも私が知っている人魚ではありません。
ある意味、興味深いですが、これが観光客にとってさらなる魅力になるかどうかは、誰にもわかりません。
曲線美を持つ女性への賛辞」と美術学校の校長
ルイジ・ロッソ美術学校のアドルフォ・マルシアーノ校長は、SNSの騒動のなかで、この像を次のように擁護した。
生徒たちは、モノポリの市長から、町のために海をテーマにした複数の彫像を作成するように依頼されました。
そこで浮かんだアイデアが、人魚だったのです。評議会に縮尺模型を見せた時にも、良い作品だということで承認を得て、完成した彫刻を広場に置くことが決まりました。
私自身、生徒たちのインスピレーションをあれこれと判断したくはありませんが、この作品は現実の表現であり、特に我が国では「曲線美を持つ女性への賛辞」と見ています。
非常に痩せたモデルのテレビ広告を目にしますが、極度に痩せた女性を表現していたら、良い作品には仕上がっていなかったでしょう。
他の地域でも同様の論争が起こっていた
ちなみに、イタリアではこの人魚の彫像以外にも、別の像が過去に物議をかもした。
・合わせて読みたい→ぎりぎりセーフじゃない?魚の彫像物が「大きないちもつ」にしか見えないと苦情殺到、完成間近で取り壊される(モロッコ)
2021 年、カンパニア州サプリの町で薄着のドレスを着た女性を描いたブロンズ像が性差別の論争を巻き起こしたのだ。
彫刻家エマヌエーレ スティファノによるこの作品は、1857 年に詩人ルイジ メルカンティーニによって書かれた「ラ・スピゴラトリス・ディ・サプリ (サプリの落穂拾い)」 への賛辞として作成されたものだ。
しかし、女性政治家から「銅像は、物語の社会的および政治的問題とは何の関係もなく、性的な体の形で表現されているのを見るという屈辱に苦しむ必要を強いられている」という批判の声があがった。
薄着の女性の銅像は、反ブルボン革命や抑圧者に対抗するために仕事に行かないことを選択した女性の自己決定を反映していないと主張され、「女性への侮辱」と烙印を押されたが、彫刻家スティファノ氏はこのように反論した。
私は単に人体が好きだからこのように仕上げた。作品がもし私だけの意向に任されていたのなら、裸の女性にしていただろう。
作品の悪い部分だけを見たい人に、芸術作品を説明しようとするのは「無意味」だ。
芸術作品の捉え方は人それぞれだが、どの作品も万人に受け入れられるとは限らない。
しかも、芸術家は他人の批評を考えて作品を生み出すわけではないため、賛否両論を呼ぶことが多い。
だが、とにもかくにも“話題性”ってことで注目されることは、そう悪いことでもなく、モノポリにも、“セクシーすぎる”人魚を一目見ようという人が、今後たくさん訪れるかもしれない。
References:‘Too provocative’ mermaid statue causes stir in southern Italy/ written by Scarlet / edited by parumo