米国のラーム・エマニュエル駐日大使=写真=は読売新聞に寄稿し、日韓間の最大の懸案である元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題を巡る両政府の対応と岸田首相の指導力を評価した。
◆ 21世紀のチャンスをつかむ岸田首相のリーダーシップ
日韓は今週、大きな節目となる取り組みを発表した。戦時の労働者問題を解決に導く内容だ。
岸田首相と 尹錫悦ユンソンニョル 大統領は、過去を認識し未来のチャンスをつかむことで、果敢さ、英知、勇気を示した。21世紀の機会を20世紀が奪わないようにしたのだ。両者は未来と同様、過去と率直に向き合った。
私はクリントン、オバマ、バイデンという3人の大統領を含め、献身的で決断力のあるリーダーに仕えてきた。自らも全米第3位の都市であると同時にタフな街でもあるシカゴで市長を務めた。成功するリーダーの条件は、自らの行動への確信とそれを実行する 強靱きょうじん で不屈な精神を持っていることだ。
岸田首相は勇敢な姿勢で合意に向けて力を発揮し、決断力と冷静さを示した。同じく献身的で決断力のある尹大統領の存在は首相にとって幸運であった。
驚くことはない。首相は一昨年の就任以来、未来志向の日本のビジョンと価値観を内外で打ち出し、その実現に向け 毅然きぜん と取り組んできた。今回の果敢さは、指導力の一例にすぎない。
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赴任前、政策担当者から日本は変化が遅いと聞いた。それから1年余りの間に、この通説は間違いだと証明された。首相が発揮した未来志向のリーダーシップのおかげだ。
日本は今年、先進7か国首脳会議(G7サミット)の議長国だ。平和で、繁栄し、信念を持った国をつくりたいという岸田首相の決意が世界の注目を集めるだろう。
読売新聞 2023/03/09 06:00
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230308-OYT1T50347/