※本稿は、シンシアリー『韓国の借金経済』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
借金で支えられてきた“勘違い経済”が限界に
韓国で、各種「債務」問題が、国家そのもののリスクとして警告されています。いえ、詳しくは、「10年以上前から警告されてきたけど、特に強く警告されるようになった」という、笑えない状態です。
結論から先に書きましょうか。韓国の、「借金は資産である」とする勘違い経済が、限界を迎えつつあります。政府債務はまださほど問題になるレベルではありませんが、民間、すなわち経済3大主体である政府・法人・個人のうち、政府以外の「家計(個人)」と「企業(法人)」の借金で支えられてきた経済構造が、悲鳴を上げています。
国家の財政が破綻するという意味ではありません。本書は、○月○日に韓国はモラトリウムを宣言するであろう、懺悔せよ、そんな予言書ではありません。サムスン電子など世界的な企業がすぐに潰れるという意味でもないし、数億円の金融資産を持っている人たちがいますぐホームレスになるという意味でもありません。
「マンションを買えば貴族に」を信じた若者たち
ただ、ここで述べたいのは、借金経済はもう限界に来ていること、そして、これからそれが表向きに回復するように見えても、あまりにも多くの副作用を深く、そして長く残すことになるだろう、という趣旨です。
「深く」と思うのは、青年層、20代、30代の人たちが、いまから崩れていくであろう借金経済の「悪い意味での主役」になってしまったからです。一部の青年たちは「マンションを買えば貴族になれる」という儚い夢に捉えられ、数十年かけても返せるかどうかわからない借金を背負いました。おまけにマンション価格は絶賛下落中です。
それすらかなわない青年たちは、単に住むところ、家を借りることすらできなくなりました。そのためのお金もローンを組んで銀行から借りなければならない、妙な借金システムのためです。
20代の借金は1年間で40%以上増加し、自殺率は大幅に跳ね上がり、合計出生率は0.7人台に入りました。韓国の20代の40%は生活を親に依存しています。2021年基準で15歳~29歳の約21%はニート(職業無し、求職もせず)です。