平均年収139万円、半数は貯金ゼロ――。貧困状態にある子どもや若者、その親への支援を続ける民間の5団体が1日、岸田政権の「子ども予算倍増」をめぐり、子どもの貧困対策費の増額を求める会見を開いた。各団体が調べたデータを交えて窮状を訴え、経済支援をはじめとした政策の実行を要望した。
公益財団法人「あすのば」の小河光治代表理事は、団体独自の低所得家庭への給付金に1万8千人から申請があり、当初の給付目標の11倍だったと紹介。申請者の平均年収は139万円で半数は貯金がゼロだったという。
物価や光熱費の高騰の影響で追い詰められる困窮子育て家庭の増加を懸念しているとし、「困難を抱える子どもへの支援も忘れてほしくない」と話した。
4つの改善策
5団体は、子ども1人あたり5万円の「低所得子育て世帯生活支援特別給付金」の再支給▽児童手当の18歳までの支給延長と低所得世帯への上乗せ給付▽児童扶養手当の増額と所得制限の緩和▽高等教育無償化の所得制限の緩和と中卒・高卒者の保険料減免による支援――といった政策を提示。政府・与野党に求めていくという。
会見に同席した子どもの貧困対策に詳しい日本大学の末冨芳教授は「民間による共助はとっくに限界を超えている。子ども予算倍増は貧困状態にある子どもに真っ先に使われなければいけない」と指摘した。(久永隆一)
朝日新聞 2023年3月2日 7時30分
https://www.asahi.com/articles/ASR3164B4R31UTFL008.html