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光る周東の足、広がる攻撃の幅 侍ジャパン壮行試合
〇日本4―2ソフトバンク●(26日・ひなたサンマリンスタジアム宮崎)
野球の国・地域別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む日本代表「侍ジャパン」は26日、宮崎市でソフトバンクと壮行試合を行い、4―2で逆転勝ちした。
息詰まる接戦を、日本代表が足技でものにした。
西日が差し込む球場。同点で迎えた九回、1死から俊足の周東佑京(ソフトバンク)が左前打で出塁すると、盗塁を期待するスタンドの視線は一塁に注がれた。
続く源田壮亮(西武)への初球で、周東は迷わずに盗塁を試みる。「打者のことを考えると、初球(での盗塁)が一番チャンスになる」。好スタートで成功させ、捕手の送球がそれる間に一気に三塁まで進んだ。直後の右前打で、勝ち越しのホームを踏んだ。
苦しい試合だった。打線はソフトバンク投手陣を攻めあぐね、4番・村上宗隆(ヤクルト)、5番・山川穂高(西武)は無安打。打線がつながりを欠き、中盤まで追いかける展開となった。
バットで点が取れない時こそ、計算できる「足」の見せ場だ。五回一、三塁の好機に一塁の代走で登場した周東は、捕手がボールをはじいた瞬間に二塁を狙って走り、悪送球を誘って1点をもぎ取った。さらに内野ゴロで三塁から生還して同点とするなど、縦横無尽にダイヤモンドを駆け回った。
世界一奪還を目指す道のりは、厳しい試合が続くことが予想される。自慢の打線も常に好調とは限らない。周東は「終盤、競った場面で(足を絡めた攻撃は)大事。やらないといけないなと思う」。チームのスピード野球を象徴する俊足選手だけでなく、すきを逃さず次の塁を狙う意識は全員に感じられた。
栗山英樹監督は「苦しい時にいろいろな形で点が取れるというのは幅が広がる。こういう形で勝てると勢いに乗っていく」。頼もしそうに、選手たちを見つめていた。【黒澤敬太郎】
https://mainichi.jp/articles/20230226/k00/00m/050/255000c
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