■漁師驚き「数百トンいくかも」
定置網をたたく漁師。よく見ると、網の目に大量の魚が突き刺さっています。魚の正体は、イワシです。
富山県の漁師・曽場慎太郎さん:「何トンじゃ済まないレベルだと思う。数十トンは間違いないとして数百トンいくかというところ」
突き刺さったイワシが重く、定置網が引き上げられません。さらに、もう1つ仕掛けていた定置網は…。
曽場さん:「(イワシの重さで)底が抜けた茶わんで、魚が簡単に出入りできる状態になっていてあぜんとしている」
■大不漁から“20年” 海で何が?
実は今、富山県や石川県など日本海側では、イワシが異例の豊漁となっています。その影響で、スーパーでは…。
かくだストア 鮮魚担当・棚木淳司さん:「大きい皿に山盛りにして1パック100円で提供している。8尾から10尾ぐらい入っている」
1尾10円ほどの激安価格。普段の4分の1の値段だといいます。
SNSには、イワシの値下がりを歓迎する声が上がっています。
SNSから:「栄養もあるし、安いのは購入する側にしたらありがたいね」「色々値上がりして厳しいときなので消費者としてはうれしい限り」
棚木さん:「(今後も)市場に並んでいたら、そういう価格で提供させてもらいたい」
豊漁の理由について、専門家は次のように話します。
東海大学海洋学部・山田吉彦教授:「イワシは大体20年おきに大豊漁と大不漁が繰り返されています。20年ほど前に大不漁がありまして、それからジワリと回復し、最近大分取れるようになってきている。特に海水温が上がってきているなかで、(イワシのえさの)プランクトンが大量に発生している」
マイワシの漁獲量を見てみると、2005年におよそ2.8万トンにまで落ち込んだ漁獲量は徐々に回復。2020年には25倍のおよそ70万トン、過去20年で最大となりました。
■専門家「豊漁はあと数年続く」
影響はこんな所にも出ています。青森県の海岸には、イワシが次々と打ち上げられました。砂浜に流れ着くイワシを、拾い集める人の姿も見られます。
イワシを拾いに来た人:「(Q.イワシいっぱい取れている?)生きているね。生きているのばっかり」
山田教授:「(先月の大寒波の影響で)急速に海水温が下がったことで、イワシが集団行動の中でパニックを起こして浜辺に打ち寄せられた。これは大豊漁の中での出来事だと考えられます」
他にもイワシが、天敵のイルカから逃げようと、砂浜に追い込まれた可能性もあるといいます。
山田教授:「(Q.豊漁は今後、いつまで続く見込み?)この豊漁はあと数年。おそらく3年から5年。今年から来年がピークだと思う」