あわせて読みたい
「WBCの視聴者数はサッカーW杯に及ばず」それでも配信するアマゾンが「勝算しかない」と強気のワケ
(中略)
「地上波のTV放映はテレビ朝日とTBSになりました。具体的な金額は守秘義務があり明かせませんが、放映権料はサッカーのW杯(1試合換算・約5億円)よりは安いという金額です」
同担当者は「なぜ、W杯より安いのか、わかりますか?」と、逆に質問をなげかけてきた上で、こう続けた。
「広告代理店の世界では、昨年末のカタールW杯が終わって、日本ではWBCよりもサッカーW杯の方が視聴者数が上回る、という判断になりました。サッカーW杯は欧州、南米、アフリカも含めて全世界で見られますが、WBCはおもに日本とアメリカに限定されるからです。今回のWBCも、サッカーW杯を中継した場合に期待できる視聴者数に到達するのは厳しい、と見ています」(同)
ではそんな状況なのに、なぜアマゾンはあえてWBC放映権獲得に動いたのか。
それは「全世界でアマゾン・プライムの会員数が約2億人いる」(アマゾン関係者)という顧客数が圧倒的な強みがあるからだ。
サッカーW杯カタール大会については、Abemaが総額200億円(推定)で全64試合の無料生配信を実現。今年1月に発表した決算では、2023年9月期第1四半期(10月から12月)は124億円の営業損失を計上したものの、認知度は急激にあがり、同社の時価総額が一気に400億円も増えた。W杯期間中のWAU(1週間の視聴者数)を「過去最大の3409万人」だったことを発表。これは昨年、同じ12月に放送されたNHKの紅白歌合戦の第2部の平均視聴人数3377万人(ビデオリサーチ調べ)より多い。
「大谷やダルビッシュというスターの参戦で、多くの視聴者数は確実に期待できる。これまではTVの独壇場だったスポーツ中継を資金力があるアマゾンさんが配信することになったのは、もはや時代の流れですよ」(前出の大手代理店スポーツ担当)
アマゾン内部では放送前から手ごたえを感じている。
「確かにスポーツ配信ではAbemaさんやDAZNさんなどライバルは多いですが、勝算しかないんです。うちは配信だけではないですから」(アマゾン関係者)
サッカーW杯を中継したAbemaは完全無料配信だった。アマゾンは月額500円(年間4900円)徴収する。番組の配信だけではなく、配送特典や音楽配信など幅広いサービスを用意していることを「強み」に考えている。
長年広告代理店でスポーツ大会の放映権料を担当している別の関係者はこう語る。
「アマゾンさんがWBCの配信をすることでこれからのスポーツ中継は一気にいろんな形に変わっていく。とっくの昔にTV1強ではなくなりました。そして配信サイトも淘汰される時代がやってきます」
その動きはすでに欧州で始まっている。今年1月にアマゾンとDAZNが配信パートナーシップを結んだことが発表され、スペインとドイツではプライム・ビデオ内でDAZNの視聴が可能になっている。日本での具体的なサービス内容は年内に発表される見通しだ。
日本が世界に誇る井上尚弥の拳がアマゾンの背中を押し、日本ではメジャースポーツの野球への参戦を後押しした。サッカーW杯で一気に存在感を高めたAbemaとともに、アマゾンが日本のスポーツ中継を牽引するのは時間の問題だ。
※長文の為全文は出典先で
FRIDAYデジタル 2/23
https://friday.kodansha.co.jp/article/296891