首相はシンポジウムで「今年の日本はG7議長国として、ウクライナ支援と国際秩序堅持へ世界の取り組みを主導する立場にある」と指摘。新たな財政支援について「戦争により生活の基盤を奪われた人々への支援や破壊されたインフラ復旧」が目的だと説明した。
G7首脳オンライン会議の開催は2022年12月13日以来。岸田首相は初めて議長を務める。
だが、ウクライナに対して7300億円の新たな財政支援を岸田首相が表明したことに、SNSでは批判の声が上がっている。
《ウクライナへの支援自体は必要だと思うが、簡単に7300億円が都合できるんだから、足りない国防費1兆円も増税する必要はないよね》
《日本は、防衛費増額するのに、国民に1兆円の増税を課すほどお金ないのに、なんで他国へ支援として、約7300億円もポンってあげれるの??そのお金1兆円近くなるじゃん。増税しなくても、あるじゃん。お金》
《フィリピンと合わせて軽く1兆円超えます。ポンとそれだけ出せるなら、日本の国防増税要らないんじゃないかと思います》
2月9日、岸田首相はフィリピンのマルコス大統領と首相官邸で会談し、2024年3月までに政府開発援助(ODA)と民間投資を合わせ、6000億円の支援を実施すると表明。共同声明でマルコス氏は、日本が新たに設けた、友好国の軍に無償支援する制度を歓迎していた。
フィリピンに関しては、台湾有事をにらみ、米国も安保協力を重視。米フィリピン両政府は2月、フィリピン国内で米軍が使用できる拠点を増やすことで合意している。
「キール世界経済研究所(ドイツ)のまとめでは、2022年1~11月の軍事、財政、人道分野を含むウクライナ支援額は、日本がG7各国で最少の6億ユーロ(約858億円)。新たな財政支援で、4位のドイツの54億ユーロ(7722億円)に匹敵する規模となります。
一方、2月20日には、バイデン米大統領が、ウクライナの首都キーウを電撃訪問。ウクライナに新たに5億ドル(約670億円)規模の軍事支援を実施すると表明しました。電撃訪問の前に、ロシアに事前に通告していたことも米国は明かしています。
ロシアによるウクライナ侵攻後、G7では、フランスやドイツ、英国、イタリア、カナダの各首脳がキーウを訪問しました。バイデン大統領の電撃訪問により、G7で首脳がキーウを訪問していないのは、日本だけとなります」(政治担当記者)
2月21日、松野博一官房長官は記者会見で、バイデン米大統領がキーウを電撃訪問したことについて、「(ロシアの)侵略から1年を前に、ウクライナへの連帯を示す動きとして敬意を表する」と歓迎した。一方、岸田首相のキーウ訪問については「現地の安全対策など諸般の情勢を踏まえて検討をおこなっているが、現時点では何も決まっていない」と説明した。
日本ができるのは財政支援だけということか。だが、2月だけで、防衛費増税分の1兆円を超える支援を表明されては、国民の堪忍袋の緒が切れかねない。