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◇1983年に発売されたファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)は、機能拡張用にさまざまな周辺機器が開発されました。
そのなかでも最も大きな存在感を放っていたのが、1986年2月21日に発売されたディスクシステムです。
在庫を増やさず、人気のあるゲームだけを素早く提供するためにはどうすればいいのか。
インターネットがある現代であればインターネット経由で配信すれば済むのですが、当時ネットはありません。
そこで任天堂は書き換え型のゲーム機である「ディスクシステム」を発売する決断を下したのです。
デパートのおもちゃ売り場や、当時増加していたファミコンショップには「ディスクライター」と呼ばれる大型の書き換え機が設置され、基本的には1回500円で好きなゲームをディスクに書き込めるようになっていました。
しかしながら、技術革新によるカセット容量の増加やセーブ機能の搭載、安価な書き換え料を任天堂とメーカーで分け合う形を取ったことによる利益の減少、任天堂がゲームの著作権を共有するよう求めたことに対するメーカー側の不信感、海賊版「黒いディスク」の登場などさまざまな要因が重なり、ディスクシステムは急速に勢いを失っていきます。
スーパーファミコンが発売された1990年以降はほぼ過去作品の移植のみとなっており、1992年に徳間書店が発売した『じゃんけんディスク城』をもってディスクシステムの歴史は終わりを告げました。
それでも今なお、ディスクシステムのタイトルを愛好する方は多く、続編が発売されているタイトルも存在しています。
あのとき多くの子供たちが夢中になって遊んだディスクシステムの思い出は、今もかけがえのないものとして、心に刻まれているのです。
※参考文献:ファミコンとその時代(NTT出版)上村 雅之 (著), 細井 浩一 (著), 中村 彰憲(著)