あわせて読みたい
【Money1】死神『IMF』は警告する「韓国は健全財政に戻れ」
「死神との話し合い」というのは毎年のことですが、2022年の大統領交代までは現在『韓国銀行』の総裁になっている李昌鏞(イ・チャンヨン)さんがアジア太平洋局長としてよく韓国政府と会っていました。
死神は「財政の健全化に取り組まないと危ないよ」
2023年02月16日、Vitor Gaspar(ビクター・ガスパー)財政局長が企画財政部第2次官と面談を行いました。以下が企画財政部が出したプレスリリースです。注目ポイントを和訳します。
ー中略ー
・また、高物価・高金利・景気減速などの厳しい状況にもかかわらず、財政の持続可能性のために財政準則を導入しようとする韓国政府の努力を高く評価するとし、財政準則の導入は先送りしてはならない課題だと強調した。
・特に、財政準則の実効性を担保するためには、財政準則が必ず国会で法制化されなければならないと強調し、韓国の財政準則法制化の動向に持続的な関心を持って見守りたいと付け加えた。
最後にガスパー局長は、今回の面談を通じて韓国の財政基調がグローバルスタンダードに適合していることを確認し、韓国の財政準則の導入方向についてIMFも支持を送ることができる機会であったと答え、面談を終えた。
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト
https://www.moef.go.kr/nw/nes/detailNesDtaView.do?searchBbsId1=MOSFBBS_000000000028&searchNttId1=MOSF_000000000062985&menuNo=4010100
「うちは財政健全化に取り組んでいます」果たしてそうかな?
このプレスリリースからすると、企画財政部の次官は「(前文在寅政権とは異なり)財政の健全化にとりくんでいる」と強くアピールした模様です。
ー中略ー
何もしなかった前政権の無責任さを、今回『IMF』は突いているのです。
もし法制化できなければ、恐らく『IMF』は韓国について厳しいリポートを出すでしょう。
そうなると、これが韓国が恐れる「信用格付け会社による格付け低下」につながる可能性が高まります。そのため、韓国はとりあえず死神の言うことを聞くしかないのです。
ガスパー局長は「韓国の財政準則法制化の動向に持続的な関心を持って見守りたい」と述べていますが、これも脅しに他なりません。「やらないなら……分かってるよね」です。
「ほら、消えるよ……消えるよ……」
韓国経済は難しいところにきていますが、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が全てを正すことはできません。また、先にご紹介したとおり、韓国の場合にはMMT的財政の実験場になっても良かったでしょう。左派・進歩系政権なら「後先考えずに」突っ走れたかもしれません。
仮に李在明(イ・ジェミョン)さんが大統領になっていたら、公約だった「利払いなしの永久債」を発行していたかもしれません。これなど、大きな経済学的実験になったはずです。
日本からすれば、それで韓国が失敗しても「他山の石」で知ったことではありませんし、通貨主権が日本よりはるかに弱い韓国がそれで成功するなら大いに参考になるはずでした。その李在明(イ・ジェミョン)さんの政治生命も、もはや「風前の灯」なわけですけれども。
落語「死神」のサゲみたいです。「ほら、消えるよ……消えるよ……」
(吉田ハンチング@dcp) 2023.02.18
https://money1.jp/archives/99982