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ネコ界きっての泳ぎの名手。水中で狩りをするスナドリネコのかっこいい姿
水中で狩りのハンター・スナドリネコのかっこいい姿
水を嫌がる猫は多いが、スナドリネコは違う。躊躇なく水にダイブして、時には潜水しながら主食の魚をゲットする。
水もしたたるぬれニャンコのお手本みたいなスナドリネコは、生まれつき水に親しむ変わり種で泳ぎもとってもうまいのだ。
スリランカのマングローブを住処にする猫界きってのスイマーであり魚専門のハンター、スナドリネコ先輩の日常にせまってみよう。
Fishing Cat: The Cat That Hunts Underwater
場所は東南アジアのスリランカのマングローブ林。スナドリネコたちは海水と淡水が入り混じる湿地の沼に住んでいる。
一見普通にみかける猫。ところが狩りになるとこの通り。魚が主食の彼らにとって水は怖いどころかおともだち。
躊躇なくザブザブ入って魚をゲット。狙いを定めて一気に飛び込み、新鮮でおいしい魚にありつくのだ。
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魚に特化した唯一のネコ科。水中に適応した特徴も
沼地に生きるスナドリネコは魚に特化した唯一のネコ科。獲物を待ち伏せ狩るために今日も顔から水に飛び込む。
水を狩場にするこの猫は頭が細く、身長のわりにボディが太めなずんぐりむっくり体形。足が短く胸板は厚め。やや短めで丸っこい尻尾も特徴の一つだ。また指の間には小さな水かきまであるそう。
これらの特徴は適応の結果と考えられている。多くの猫が陸上でバランスをとるのに使う細長いしっぽもスナドリネコには要らなかった。
そのかわり、彼らの前足のつま先には網状の水かきめいたものがある。その小さな器官が水をかいて進むのに役立っているのだ。
潜水して漁するフィッシング・キャット
潜水して漁することからフィッシング・キャット(Fishing Cat)という英名もあるスナドリネコ先輩。
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この日は浅瀬の魚をゲット。水中でひたすら待って油断した魚を獲ることも。
沼の底を泳ぐ魚も発見次第すぐキャッチ。即座に飛び込み滑るように泳ぐ姿はまるで別のクリーチャー。
また彼らはたまに水鳥も狩る。好物の魚が獲れない時などは水辺で目についたものをとりあえず獲っては食しているそうだ。
基本単独行動で生後1カ月から狩りの練習
スナドリネコは交尾を除けば基本単独行動だが、東南アジアに点在する湿地帯に広範囲なテリトリーをもつため他の個体と出くわすこともあるそう。
繁殖期のメスはたいてい1度に2~3匹の子猫を産み、育児も母親が担当する。
子猫が水にふれるのは生後1カ月からと早く、そこから狩りの仕方も学んでいく。
マングローブ林の減少と乱獲で絶滅危惧種に
だが悲しいことにスナドリネコは絶滅危惧種だ。その原因は餌場であるマングローブ林の減少、それから密猟者による乱獲といわれている。
実は世界のマングローブ林はすでに35%も失われている。
その原因は様々だが、養殖事業の開拓やインフラ整備の大規模な伐採のほか、ダム建設による淡水のせき止めや気候変動による海面上昇の影響などがあげられる。
一方でスナドリネコを罠にかけてエキゾチックなペットとして売りさばく乱獲や、網にかかった魚を獲ったスナドリネコが地元の漁師に捕まえられて売られることもある。
スナドリネコの保護活動に取り組む団体も
そんな事情で絶滅の危機にあるスナドリネコの保護活動に熱心に取り組む団体もいる。
上の動画に協力したFishing Cat Conservancy は、スナドリネコが住む土地の所有者の理解を得ながら持続可能な保護区を運営している。
インドとスリランカのスナドリネコの愛好家から成るこの団体は、スナドリネコを知ってもらうため子どもたちに周知活動を開始。
また漁師たちにはマングローブを伐採せずに収入が得られるよう、カニ漁の道具を提供して交流を図ったりと努力を重ねている。
特殊な生息域や行動様式をもつスナドリネコの保護は難しい面もあるという。
それでもスナドリネコをこよなく愛するスタッフは、国を超えてコミュニティを盛り上げ、森林破壊や気候変動などの環境問題も解決していきたいそうだ。
生存競争のすえに陸を離れて湿地になじんだネコ科とされるスナドリネコ。他の猫にはない魚キャッチスキルを受け継ぐ猫ズの日常がこれからも続きますように。
References:boingboing / wikipediaなど /written by D/ edited by parumo