2/13(月) 9:05
未婚率の学歴差
前回の記事では、職業の種類によって生涯未婚率の男女差があるという話を紹介したが(参照→女性の管理職の未婚率が男性と比較して圧倒的に高いという事実)、学歴によっても生涯未婚率には男女で違いが出る。
国勢調査では10年に1回、最終卒業学歴のデータを調査している。2020年はその10年に1回に当たる。学歴別のデータと年齢別配偶関係のデータを掛け合わせると、学歴別の未婚率が計算可能となる。
以下は、各年代5歳階級別の最終卒業学歴別の未婚率を、それぞれの性別の年代別全体未婚率との差分によって表したグラフである。個別の細かい数字ではなく、「高卒以下」「短大・高専卒」「大卒以上」の3つに分類した場合の、男女の違いの大きな全体像の違いを見比べていただきたいと思う。
ちなみに、暖色系にしたものが生涯未婚率対象年齢の45~54歳の未婚率である。
※国勢調査の学歴別データに不詳補完値はないため、ここでの未婚率計算式は従来型の不詳除く計算式としている。不詳補完値と不詳除く計算式の違いについてはこちらの記事(【国勢調査】不詳補完値の正式採用により、2020年の生涯未婚率は男28.3%、女17.8%へ)を参照。
これを見ると、学歴ごとの違いもさることながら、同じ学歴でも男女差が顕著であることがわかる。
学歴と性別で正反対の傾向
まず、男性の場合は、高卒以下と大卒以上が正反対の傾向となっている。つまり、大卒以上の学歴の男性は全体平均よりも低い未婚率であり、いうなれば、大卒は結婚しやすく、高卒以下は結婚しにくい境遇であることがわかる。
男性の生涯未婚率は2020年には不詳補完値でほぼ3割に近い最高値となっているが、それらを押し上げているのは高卒以下の男性の未婚化の影響が大きいといえるだろう。
特に、男性初婚の限界年齢といわれる39歳までの年齢において、高卒以下の男性は大幅に未婚率が高い。逆に、大卒以上は、20代を除いてすべての年代で平均を上回る既婚率となっている。
一方、女性では、高卒以下とそれ以外とで正反対になる。
男性同様、高卒以下と大卒以上は対照的だが、その向きは男性とは真逆である。高卒以下の女性の場合、20代での既婚率が高く、30代でいったん苦戦するものの、生涯未婚率である50歳以上はおおむね全体平均以下の未婚率に収まっている。
大卒以上の女性は、ほぼすべての年代で平均以上の未婚率であり、本来最も女性の初婚数が多い29歳までの年齢において、大卒女性はむしろ最も未婚率が高い状態となっている。
日本の婚姻数が激減しているという話は、周知の通りだが、婚姻数を減らせているのは、初婚同士の婚姻数の減少が大きい。つまり、それは同時に未婚率の上昇と同義になるが、その大きな要素を占めているのが、高卒男性と大卒女性の未婚率の上昇なのである。