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「はっきり言うて、俺はトラックマンとかわからへんよ」卓越した勝負勘でデータ時代に挑む阪神・岡田監督
阪神・岡田監督は、最新のナントカといった類いのものに、ほとんど興味を示さない。15年ぶりにタテジマのユニホームに袖を通した春季キャンプ。以前率いた頃にはなかった投手の回転数、回転軸、変化の軌道などが計測できるハイテク機器にも無関心だ。
「トラックマンとか、俺、わからへん。はっきり言うて。(以前、監督した頃は)なかったもんな。数字で勝負するわけちゃうからな」
冷ややかな言葉は、機械に頼らなくてもボールの質ぐらい見極められるという自信の裏返し。信じるものは、己の目だけで十分というスタンスだ。
だからといって、古典野球の信者ではない。阪神監督就任1年目の04年は、送りバントをあまり用いなかった。四球を選べる選手を重宝した。打率よりも出塁率と長打率を重視して米大リーグにデータ野球革命を起こしたアスレチックスの「マネーボール」に触れたことがなくても、長年の経験で、得点への近道を知っていたのだ。
65歳の今も本質を突く感覚は衰えていない。このキャンプでも、面白い場面があった。近本、中野ら、俊足選手に、内野安打を増やすように求めたのだ。
バットを強く振ると、どうしても一塁へのスタートが遅れる。追い込まれていたり、苦手な投手が相手なら、チョコンと当てる“走り打ち”のような形も、足の速さがあるのだから、それも技術の一つだと説いた。「内野安打は打率も上がって自分も助かるし、チームも助かるよ」。塁上を多く賑わせれば、得点機会が増える。そのためには、きれいな安打ばかりが能じゃないよ、と言いたいのだろう。
日本球界には今、データ野球の新しい波が押し寄せている。昨季2位のDeNAは、特定の打者に極端な守備シフトを敷くことで有名だ。守備シフトは、打ち取った打球が安打になる可能性がある。それを嫌う投手は少なからずいるものの、同球団の関係者によると、最新の分析機器がはじき出したデータを重んじる球団方針を、三浦監督は選手に理解させているという。
2連覇中のヤクルトも同じように守備シフトを操る。好成績は監督やコーチ陣の指導力が根底にあるとはいえ、野球の技術や戦術に、ハイテク機器の匂いを感じさせる両球団が上位にいるのは、偶然ではない気がする。
そんなコンピューター野球の風潮など、岡田監督はどこ吹く風だ。「ファインプレーはいらない。投手が打ち取った打球を確実にアウトにすればいい」という信条をもとに、おそらく、特定の打者に対して守備シフトを敷くことはないだろう。米大リーグから輸入される様々な野球の新しい指標も、気にしないだろう。勝つために必要なことは、昔から変わらへんよ―と言って、鼻で笑う光景が目に浮かぶ。卓越した勝負勘で、データ全盛の時代にどう挑むのか。23年が楽しみでならない。(阪神担当 倉世古洋平)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d057705c080ec45ea49d5f89e9632cbeae918a0
スコアラーが集めた情報と、細かいデータを駆使して、コーチが選手を指導すればいいだけやろ、要は。
「はっきり言うて、俺はトラックマンとかわからへんよ」卓越した勝負勘でデータ時代に挑む阪神・岡田監督(スポニチアネックス) https://news.yahoo.co.jp/articles/0d057705c080ec45ea49d5f89e9632cbeae918a0 …