【マニラ=小峰翔、安田信介】関東など各地で相次いだ強盗事件を巡り、フィリピン当局は8日夜、入管施設で拘束されていた渡辺優樹(38)、小島智信(45)両容疑者の身柄を日本側に引き渡し、2人は9日午前、日本に強制送還される。警視庁は特殊詐欺事件での窃盗容疑で2人を逮捕し、一連の強盗事件との関連についても捜査する。
フィリピンで拘束されていたのは男4人で、このうち今村磨人(きよと)(38)、藤田聖也(としや)(38)両容疑者は7日に強制送還され、窃盗容疑で逮捕されている。
渡辺、小島両容疑者は女性に対する暴行の罪で現地で刑事被告人となっており、身柄の引き渡しが遅れていたが、7日に公訴が棄却され送還が決まった。
警視庁は4人が2018~20年頃に国内で高齢者らから約60億円をだまし取った特殊詐欺グループの幹部だったとみている。4人のうち渡辺容疑者が最上位で仲間から「ボス」と呼ばれていたという。
4人のうち今村容疑者は送還前、フィリピンの弁護士に「自分は詐欺にも強盗にも一切関わっていない」と語ったとされる。一方、渡辺、小島両容疑者と6日に接見した現地の別の弁護士によると、両容疑者は詐欺や一連の強盗への関与について「ノーコメント」と話したという。
一連の事件では「ルフィ」や「キム」などと名乗る指示役がSNSの「闇バイト」に応じた実行役にフィリピン国内から通信アプリを通じて指示を送っていたことが判明している。警視庁は、こうした指示が収容所内から出されていた可能性があるとみている。
一方、警察庁によると、闇バイトに絡む同様の強盗や窃盗事件が21年夏以降、14都府県で五十数件発生し、60人超の容疑者が逮捕されていることが確認された。複数人で民家や店舗に押し入り、住人を縛って金品を奪うなどの手口が共通しており、各地の警察が「ルフィ」グループの関与について調べている。
2/8(水) 23:17配信 読売新聞オンライン
強盗ルフィ一味、渡辺優樹容疑者は指示役4人で最上位の「ボス」