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正義の味方「ハリー・ポッター」が居ないので『ホグワーツ・レガシー』で Let’s エンジョイ 死の呪文。
オープンワールドゲーム・ホグワーツ・レガシーが発売!
マグル(非魔法族)のみなさん、こんにちアバダ・ケダブラ。
『ハリー・ポッター』ファンが待ちに待った『ホグワーツ・レガシー』がついに発売されます。PS5、Xbox Series X|S版は2月10日、PC(Steam)版は2月11日となっていますが、既に早期アクセスでゲームをプレイされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
幸いなことに、PS5版『ホグワーツ・レガシー』の体験記事を執筆するために本作を遊ぶ機会をいただき…….。
そうでした。私PS5を持っていませんでした。持ってない…な……。
そして、このメッセージを受け取った日の筆者の行動記録がこちらです。
なんでやねん!!!
『ホグワーツ・レガシー』のためとあらば買ってしまえ!という軽いノリで買ってみましたが、さすがに物が大きいので購入する旨を母親に伝えたところ既読スルーされました。(かなしい)
そして、ヨドバシの店員さんの「ズート〇アかわいいですね」は多分当分忘れられません。仕事なんです!!!これ仕事です!!!!
……結論から言いますが、このゲームは6万という金額を払ってもなおPS5でやる意義のあるゲームだと感じたので(お財布のさみしさ以外は)オールOKです。
文・写真/Squ
ゲームを遊ぶ前に
さて、わざわざこの記事を開いたというあなたは、相当な『ハリー・ポッター』好きか、これからシリーズに触れようとしている方でしょう。
あっ、待ってください。大丈夫です。遊ぶ前にあると嬉しい知識はこれだけです本当に!!!
……と、いきなり初心者落としのような入り方をしていますが、正直なところ本作は“ファン向け”ゲームなので、知っておいた方が間違いなくいいでしょう。
というのも、本作には魔法動物や呪文などはある程度の解説があるのに対し、「癒師」や「スツージング」といった固有名詞の解説がなされていないなど、本筋に関係ない部分は置いてけぼりな節があるからです。
『ハリー・ポッター』シリーズを読む・見るなどしていても怪しい部分があるので、100%楽しむためにはある程度の予習か、『ハリー・ポッター』シリーズ専用の辞書類の用意をオススメしておきます。
ただ、本作は映画と小説の双方の要素をあわせ持っているというだけなので、ストーリー以外に関して言えば、いきなり全てを理解することを目指さなくてもいいかもしれません。
また、本記事ではストーリーのネタバレへの配慮をしていますが、魅力を説明するうえで必要な範囲でストーリー部分の映像や画像を使用することがあります。あらかじめご了承ください。
アバダをケダブラしたい
さて(一部の)ハリポタファンの夢といえば、「許されざる呪文」を使うことでしょう。
これらの呪文は、今までいくつものゲーム作品が展開されてきている『ハリー・ポッター』シリーズとはいえ、(数多くの校則違反を犯しながらも一応)ヒーロータイプのポッターくんを主人公に据えているからか、私の観測範囲で使用可能なゲームはありませんでした。
「許されざる呪文」はそもそも原作の設定の時点で、ゲームで防御技として採用されがちな呪文「プロテゴ」を貫通できるという、いわゆる「ガー不呪文」なのでバランスブレイカー以外の何物でもない……はずなんですが、
なぜかこのゲームではそんな許されざる呪文をバンバン打てるらしい!(しかもガー不)そんな噂を小耳にはさんだので、ワクワクしながらゲームを進めていくことにします。
(動画中に登場するセバスチャンくんは、ゲーム中だとめちゃくちゃいいヤツなのでみんなすこってくれ頼む!!!)
ハリー・ポッター・ファンクラブで自分の「寮」と「杖」に出会おう
ファンの方なら是非やってほしいのが、このハリー・ポッター・ファンクラブとの連携でしょう。
公式サイトでさらっと触れられているこの機能ですが、「Harry Potter Fun Club(英語)」のアカウントと連携することで「自分の寮」と「自分の杖」の情報を引き継ぐことができます。
『ホグワーツ・レガシー』では、自分自身で「寮」と「杖」を選ぶことができてしまいますが、同サイトを利用することで、原作同様に自由意思に基づかない選択が可能になるわけです。
サイト自体は英語のみの対応ですが、Google翻訳などを使用して登録してみるとハリーたちと同じような気持ちを味わえるかもしれません。
映画でオミットされた原作要素ももれなくビジュアル化。ファンの心を“くすぐる”、愛のリクタスセンプラ
さて、本題に入る前にひとつ確認しておきたいことがあります。それは“どの英語”かということです。
『ハリー・ポッター』シリーズは、作者であるJ・K・ローリングの意向により、イギリス人の俳優のみを選出したという話を耳に挟んだことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのため、アメリカ拠点の会社が開発を担当しているということで“どちらの英語”が使われるのか興味があったのですが……結果は「イギリス英語」でした。…これは期待が持てますね!
と、軽いジャブはこの辺にしてサクサクとキャラクターメイクの方を終わらせ……、
「スクアード・ダブロンドア」と名づけました。非常に『ハリー・ポッター』らしい名づけになったのではないでしょうか。
ダブロンドアは、ついにホグワーツへと入学をはたします。といっても、ホグワーツとしてはあまり例を見ない5年生からの編入学とあり、学校中が自分のウワサであふれています。
入学初日にも関わらず、談話室はダブロンドアくんの話題でもちきり。ゲーム内で偉業を達成するごとに、ウワサばなしの内容はどんどん大きくなっていきます。
ハリーが「生き残った男の子」と一生言われ続けるのに近い感覚なのかもしれませんね。
この作品がいままで主流であったハリーが主人公の『ハリー・ポッター』ゲームと大きく違う点は、映画以外の要素が取り入れられている点です。
ハリーが主人公のゲーム化作品は、後期になればなるほど映画のビジュアルに寄っていく傾向にあったために原作小説の要素が含まれることはあまりなかったように思えます。
たとえば、本作では「憂いの篩」や杖先に光を生成する呪文「ルーモス」の効果音など、映画版のエッセンスももちろん含まれていますが、
ポルターガイストの「ピーブス」をはじめとした、映画版からは削られてしまった原作要素を垣間見ることも可能となっています。小説版ファンに対しても、映画版ファンに対しても優しい仕上がりとなっているわけですね。
そして、もちろん小説や映画でも語られていない設定が盛り込まれていることも。
例えば、ホグワーツ近くの小さな村「ホグズミード」に存在する杖店「オリバンダーの店」などもそのひとつです。
もともとは「ポッターモア【※】」という『ハリー・ポッター』シリーズ公式のウェブサイトに記載された情報で、このサイトで説明された内容はファンたちのあいだで作品の歴史を紐解く重要な存在となっていました。
※ポッターモア
シリーズの著者J・K・ローリングとソニーによる、『ハリー・ポッター』シリーズの世界が楽しめるウェブサイト。2015年ごろまでは日本語版が存在していたものの、リニューアルに伴い閉鎖されている。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどでも実際に訪れることのできる「オリバンダーの店」ホグズミード店ですが、ゲーム中の建物はかなりそっくりに仕上げられています。
映画で描かれていない部分に関しては、もしかしたらパーク内のビジュアルも参考にしているのかもしれませんね。
そのほかにも、随所に施された魔法ワールド・エッセンスが爆発しており、箒の授業では日本のクィディッチ・チームである「トヨハシ・テング【※】」の名前が登場。
とにかく一般的な作品知識ではまかないきれない要素の数々に、遊んでいて常に感心するばかりでした。
※トヨハシ・テング
愛知県豊橋市に拠点を構える、日本でもっとも強いとされるクィディッチチームの名称。ホグワーツの蔵書『クィディッチ今昔』によれば、チームが敗れた際に自らの箒を焼き払う風習に関して国際魔法使い連盟クィディッチ委員会から難色を示されているという。
カユい所に手が届く「遊びやすさ」
さて、このゲームにおける舞台は1800年代のイギリス・ハイランド地方です。マグル界の電子機器類が使えなくなるホグワーツ周辺地域において、ゲーム中における主な移動手段は箒かヒッポグリフのような魔法動物に限られてくるでしょう。
メインクエストかサブクエストかを問わず、序盤の徒歩での移動を強いられる間は、ホグワーツ城とホグズミードを中心とした現実的な範囲内での進行になっているようです。
説明するよりも、実際にホグワーツ城とホグズミードの間を全力疾走した際の動画を見てもらうとわかりやすいかもしれません。
本作では基本的にスタミナ消費なしで走り続けることができるため、徒歩での移動でもあまり苦に感じることはありませんでした。なにより純粋に魔法の世界を歩き回ることが楽しいですからね。
そして、動画上でも使用していますが、マップ上とプレイヤーの目の前に目的地までのナビを表示できるシステムも存在しています。
ただ、やっぱりめんどくさい時はめんどくさいのです。とくにホグワーツ城は原作通りたいへん入り組んでいるので、ゲームの中でも一番迷子になりやすい場所となっています。
でも、ちゃんと救済策が用意されているのでご安心ください。このゲームには「煙突飛行粉(フルーパウダー)」によるファストトラベル・システムが搭載されており、マップ中に約80個ほど散らばっています。
ありがたいことに、そのうち30個程度はホグワーツ城内に設置されており、先述のナビシステムと組み合わせることで、筆者のようにオープンワールドが恐ろしく下手な人間でも遊べてしまうようになっています。
アバダ・ケダブラ、相手は死ぬ
筆者が使いたくて使いたくてしょうがなかった、アバダ・ケダブラ。あまりにも簡潔な説明文がこちらです。
7文字!すごい!説明文が短すぎる部門でギネス狙えると思います。子ども時代に『ハリー・ポッター』に惹かれ、ヴォルデモートに魅せられた私がどれだけ夢見てきたことか。
ついにその夢がかないます!
さぁ、早く撃たせてくれ、早く撃ちたいんだ!!これを撃つために発売を待ちわびてたんだ!!!
うぉぉぉぉ!「アバダ・ケダブラ!」
「セバスチャンがこのことを聞いたら…驚くだろうな」
―スクアード・ダブロンドア
なお、「アバダ・ケダブラ」を含む闇の魔術をお試しできる「闇の魔術のバトルアリーナ」は、デラックス版を購入していれば、ゲーム開始序盤から遊ぶことができます。
お手軽に「わが君」ごっこが出来るという「デスイーター志願者」にはもってこいなコンテンツとなっており、ゲーム中でも屈指の楽しさを誇っています。
もしデラックス版か通常版か、どちらを買うか悩んでいる場合は、このコンテンツのためだけにでもデラックス版を買う意義があるかと思います。
なお、動画を見ていただければわかるとおもうのですが、このゲームは戦闘スピードがかなり早いです。
「バランスの取れた難易度」とされているノーマルであっても苦戦を強いられることがあるため、不安な方はより低い難易度でゲームをスタートしてみてもいいでしょう。
PS5版ならではの魅力
筆者が今回プレイさせていただいたのはPS5版だったのですが、PS5で腰を据えてしっかり遊ぶ初めてのゲームだったということもありとても感動しました。
PS5版のキモであるハプティックフィードバックやアダプティブトリガーは丁寧に設定されており、箒を操縦する重さや、呪文を実際に放っているかのような感覚に陥り、非常に高い没入感を得ることができました。
また、今回5.1chのサラウンドスピーカー環境でプレイしていたのですが、「コントローラーに搭載されたスピーカーからも同じ音がなる」という感覚が新鮮でした。
テレビのスピーカーとは別の近距離から音が発せられることで「実際に自分が呪文を出している」というような不思議が体験可能となっています。
※動画内のホワイトノイズはPCからの排気音であり、PS5の排気音ではありません。
今更ながら6万出してPS5を買ってよかったなぁ……としみじみ思います。
おわりに
あまりにも膨大すぎるコンテンツ量のために、そのすべてを記事におさめることは叶いませんでしたが、すこしでも本作の魅力が伝わったでしょうか?
ゲーム展開がDS版『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で止まってしまっていた日本国内では久々の「ハリポタゲー」となる『ホグワーツ・レガシー』。
圧倒的なテキスト量とボイス量、マップの広さなど、過去の『ハリー・ポッター』作品と比較すればキリがないほどの広大な魔法世界が目の前に広がります。
近代的な移動手段がほとんどない魔法世界をオープンワールドゲームとして、「遊びやすさ」と「面白さ」を兼ね備えて実現させたこと。
そして、原作モノであるが故に綿密におこなわれている設定考証やローカライズの質は、このコンテンツ量を考えれば目を見張るものであり、ハリー・ポッターファンであれば間違いなく遊ぶべき作品といえるでしょう。
そんな『ホグワーツ・レガシー』はPS5/Xbox Series X|S版が2月10日、PC(Steam/Epic Games Store)版が2月11日に発売予定、また、4月4日にはPS4/Xbox One版、7月25日にはNintendo Switch版の発売もそれぞれ予定されています。
1800年代という、いままで語られなかった時代に焦点を当てたからこそ実現できた、圧倒的な自由度の世界にぜひ飛び込んでみてください。