米軍が中国の偵察用気球を撃墜したことを巡り、磯崎仁彦官房副長官は6日の記者会見で、日本上空でも過去に確認された気球とみられる飛行物体について、「米国における事案との関連性も含め、引き続き分析を進めたい」と述べ、警戒監視に万全を期す考えを強調した。
磯崎氏などによると、気球とみられる飛行物体は2020年6月に仙台市などで、21年9月に青森県八戸市でそれぞれ目撃された。当時の自衛隊の対応などについて、磯崎氏は「手の内を明らかにする恐れがある」と回答を控えたが、「公表すべき事象は確認されていない」と述べた。
政府は、気球が領空に入れば、国際法上、航空機による領空侵犯と同様に対応する方針だ。磯崎氏は「外国の気球であっても、我が国の許可なく領空に侵入すれば、領空侵犯となり、必要な場合には緊急発進を含めた措置を取る」と指摘した。
自衛隊法では、外国の航空機が領空侵犯した際、防衛相は自衛隊に対し、機体を着陸させることや、領空から退去させるため必要な措置を講じさせることができるが、自衛隊が米軍のように撃墜することは難しいとされる。
同法で定める弾道ミサイル等に対する破壊措置は「落下により人命または財産に対する重大な被害が生じると認められる物体」を対象としており、偵察用気球に適用することは想定していない。
今後、偵察用気球が日本上空に飛来することが増える可能性もあり、自民党内では「対応策を早急に検討するべきだ」(国防族議員)との指摘が出ている。