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【パヨク】DHCと虎ノ門ニュースが残した厄介な「右派市場」
右派言論人の牙城として知られたネット番組、『虎ノ門ニュース』の終了がひっそりと発表された。この番組は、化粧品通販・健康食品大手のDHCを親会社とする「DHCテレビ」が制作していた。DHC本体は2022年11月、オリックスに約3000億円で買収されることが明らかになった。この発表と前後して、同番組を含む動画関連のサービスは終了告知がなされた。買収の影響があったことは想像に難くない。
同社はこのまま役割を終えるが、怪しげな言論を振りまいたメディアが名実共に勢いを持ったという事実は残る。この方法に学んだ人々が、新たなスポンサーと共に再現を目指すという可能性は決して低くない。
社名を冠したメディア企業の政治的スタンスは、一代でDHC本体を急成長させた吉田嘉明会長兼社長の意向が強く反映されている。DHCテレビが制作し、17年にTOKYOMXで放映された情報バラエティー番組『ニュース女子』は、BPO(放送倫理・番組向上機構)から「重大な放送倫理違反」を指摘された。在日韓国人で人権団体代表の辛淑玉(シン・スゴ)氏が組織的に参加者を動員し、沖縄で過激な米軍基地反対運動をあおっているという内容の番組は、東京高裁でも名誉毀損が認定されている。ルーツに対する差別もあり、判決内容は至極真っ当なものである。
吉田氏は当時、BPOに対し激しく反論している。「普段NHKや地上波の民放テレビを見ていて何かを感じませんか。昔とは明らかに違って、どの局も左傾化、朝鮮化しています」と、公然と手記に記す彼の思想傾向は極めて明確であり、民族差別ともかなり親和的だ。
問題はこれらの言説が右派層を中心に一定の支持を集めたことにある。彼の差別的発言に対し不買運動も起きたが、3000億円で買収されたことが示すように、彼の政治的スタンスがマーケットに与えた影響は大きくはなかったとみるべきだろう。
右派の「ピーク」は再来するか
私もかつて、本誌に掲載したルポで、DHCテレビを取材したことがある。虎ノ門駅から程近いビルの一角にある、ガラス張りのスタジオにはYouTubeでも配信される『虎ノ門ニュース』を生で見ようと数十人の人が足を止めていた。
同社の山田晃社長(当時)は「韓国も中国も、それって普通に考えておかしくない?ってことが多いじゃないですか。それを『普通の人』の感覚を大事にして、分かりやすく、面白く伝える」ことを大切にしているのだ、と堂々と語っていた。彼らの内容が面白いとはおよそ思えなかったが、出社途中とおぼしきスーツ姿の人々が足を止め、熱心に聞いている様子を見ると、山田氏の自信も分かる気がした。
吉田氏が無邪気に記すように、マスメディアには報じられていない真実がインターネットにはある、と考える「普通の人々」は、今でも決して少なくないということだ。
強硬な右派層を支持基盤とする故安倍晋三という政治家が政権のトップに立っていた時、彼らの勢いはピークに達したことも忘れてはいけない。ひとつの時代は終わったが、吉田氏が切り開いた言論マーケットという厄介な問題は残る。
石戸諭(ノンフィクションライター)
2/4(土) 19:36配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/821dbb0a9e3ca3e83afd90eb641a51df7299abce