急増する10代のオーバードーズ、いまや中学生にも拡大…その背景とは? 

急増する10代のオーバードーズ、いまや中学生にも拡大…その背景とは? 

急増する10代のオーバードーズ、いまや中学生にも拡大…その背景とは? 

オーバードーズ(オーディー)とは、多幸感を得て精神的な苦痛から逃れるために、ドラッグストアで購入できる風邪薬、せき止め薬、医療機関で処方された向精神薬、睡眠薬などを大量に摂取することをいいます。 若い人を中心に急増しているとされ、身体に大きな負荷がかかるほか、一度依存するとなかなか自身で離脱することは難しくなります。

TOKYO MX地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、急増する“若者のオーバードーズ”についてキャスターの田中陽南が取材しました。

◆深刻な社会問題となっている10代のオーバードーズ

オーバードーズとは「精神的な苦痛から逃れ、多幸感を得ることを目的に薬を大量に摂取すること」で、それが今、若者の間に蔓延り、深刻な社会問題となっています。

そんなオーバードーズについて知るべく、田中は埼玉県の大宮へ。「碧の森」というWebサイトを運営し、薬物の依存症患者や元受刑者などの支援を行っている湯浅静香さんのもとを訪ねました。

オーバードーズについて、「最悪の場合は、死ぬ」と語る湯浅さん。中学生高校生の間で拡大していると話します。データを見ても、市販薬による依存症が10代にここ数年で急増しています。

その大きな要因のひとつがSNSの普及”。湯浅さんは「かつて情報は自分で歩いて調べないとわかりませんでしたが、今はスマホTwitterInstagramを見れば入ってくる」とその現状を解説します。なかには大量の薬の空き箱を撮った写真をアップしている子などもおり、それを見て私もやってみようと思ってしまう子も。「安易なものになりつつあるかなと思いますね」と危惧します。

SNS上ではOverdoseの頭文字から“OD”と略されることもあるオーバードーズ。検索してみると、そこに見られるのは周囲への落胆や将来への不安、絶望など。湯浅さんもオーバードーズに陥る人の傾向として「寂しさを紛らわすとか、自分を見てほしいとかのサインであったりもします。注目を集めたい子もいるし、本当に死にたい子もいる」と話します。

そうした小さな声を一つひとつ汲み取っている湯浅さんですが、サポートを始めたきっかけは自身の過去にあります。というのも、湯浅さん自身がオーバードーズ経験者。両親がギャンブル依存など複雑な家庭で育ち、子ども時代はあまり学校に行かず、援助交際を経て夜の世界に入り、その後は自身もカジノパチンコなどにハマり、最終的にオーバードーズに。さらに、意識がない状態で窃盗を繰り返し、その罪で刑務所に2年7ヵ月服役。

湯浅さんによると、この窃盗もまた依存症のひとつで、その他にもさまざまな依存症を経験。「現在も(依存症から)回復中なんですよね。依存症に完治はないです。なので、“回復を続ける”という表現をします」と湯浅さん。

そんな彼女が更生の道へと進めたきっかけは、ある牧師さんの話。「元ヤクザで3回服役をしている牧師さんがいるんですけど(その方の)『俺は今こうして回復しているよ』という言葉を聞いたときに『私でももしかしたらやり直せるかもしれない』と思って。そこから(カウンセリングの)勉強を始めた」と明かします。なお、湯浅さんはその牧師さんの元に、今なお足繁く通っています。

最後に湯浅さんは「今、依存症で苦しんでいる方、累犯で社会復帰できるのか悩んでいる方はたくさんいると思います。でも、私でも更生できる。薬物依存、ギャンブル、窃盗から回復できますので、みなさんも必ず回復できると、私は信じています」と依存症に悩む方々に向けてエールを送っていました。

◆10代の薬物依存、その主たる薬物は“市販薬”

湯浅さんの声を聞いたキャスターの堀潤は「こうして民間の現場で声を掛け合い、支え合うということに、私たちの社会はもっと目を向けるべき」と率直な感想を述べます。

そして、そうした支えている人たちに背負わせ過ぎていないかと案じつつ、「服役したなかで、そこが回復や治癒の場かといえばそうではない。また丸腰のまま社会に戻ることになる。こうしたみなさんの活動があるから次の居場所として、回復の取っ掛かりを導いてくれている」と感謝。

なお、取材した田中によると、湯浅さんの元にはオーバードーズをした本人からの連絡はあまりないそう。むしろ、その家族など周囲の人間から相談を受けて、本人に繋がることが多いそうです。

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、いまや依存症が中学生にまで広がっていることに慄き、その要因であるSNSに言及。良い影響もあるものの、「リテラシーが必要というか、知識面も含め、自分の気持ちや承認欲求みたいなものがコントロールできないと、そうしたことに繋がっていく」とし、「今後学習指導要領の改訂があるが、こうしたことも想定して作らないといけない」と意見を述べます。

慶應ビジネススクール2年(MBA)の池田颯さんは、「薬物依存は原因というよりも結果。なぜこうしたことが起きてしまったのか。今後、こうしたことを生まないようにするにはどうしたらいいのか」と頭を悩ませます。

改めて10代の薬物依存症患者の現状を見ると、その主たる薬物は、2014年では“市販薬”がゼロだったものの、2020年には56.4%に。市販薬によるオーバードーズがとても増えています。

microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは「本質的な課題は、そもそもなぜオーバードーズになるようなことをしなくてはいけなかったのかというところ」と言い、「(そうした人たちは)やはり誰かに認知されたい、家庭環境が不安定で愛がほしいといったことが根本的にあると思う」と推察。

そして、「そうした人たちに僕らができることは限られていると思うが、伝えたいメッセージとしては、死なないでほしい」と懇願。「僕らが更生しましょうというのもある意味上から目線過ぎる気がするが、生きているなかで何か少しでも良いことがあったときに、そこから更生したいというタイミングが訪れたら。僕は何度でもやり直すことができるのが人生だと思う。こうしたことで命を失うようなことだけはしてほしくない」と渋谷さん。そして、オーバードーズを防ぐための手段としては「薬の処方のあり方を変えるということは、ひとつの手段だと思う」と提案します。

また、番組Twitterの「スペース機能」に参加していたオーバードーズを経験したことがあるという視聴者の声も紹介。「社会で孤立しないとか、見守るような社会、みんなで助け合える世界ができれば一番いいと思う」と望む声がありました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter@morning_flag

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(出典 news.nicovideo.jp)

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