「自分の息子に『子ども手当」払っているんじゃないよ」
「首相が自分で自分の息子に『子ども手当』を支給するみたいなものです。それも1000万円でしょう」
革新系の元地方議員が呆れたように話してくれた。それにしても「自分で自分の息子に子ども手当」とは不謹慎だが上手いことを言う。
もちろん首相とは岸田文雄首相(65)のことで、息子とは政務担当首相秘書官の岸田翔太郎氏(32)のことだ。
「官邸を親子で私物化するなんて独裁者のつもりですかね」
常日頃、自民党と対立してきた政党の方なので少し一方的、話すべてを受け取ることはできないが気持ちはわかる。
「それも議員秘書2年、まだ見習いみたいなものでしょう」
ツイート&エゴサ係に1000万円にあきれ顔の政界
岸田首相はそれまで2年ほど自分の議員秘書をしてきた息子の翔太郎氏を政務担当首相秘書官に抜擢(ばってき)した。
議員秘書と首相秘書官は同じ「秘書」が付いても、その仕事内容は大きく違う。首相秘書官、とくに政務担当は各党、各議員と官邸との調整役はもちろん、首相と国会機密も共有する。そのような重要ポストにいきなり就任した翔太郎氏だが、その年収も1000万円前後ではないかと各メディアで報じられている。
「父親のSNSの更新で1000万円っていいご身分ですよ。これが『適材適所』なら、その程度なんでしょうね」
翔太郎氏に期待する仕事のひとつがSNSによる官邸からの発信だと、父親である岸田首相自身が言及している。
父親のSNS係、Twitterならツイートはもちろん自分たち親子の評判を検索機能で調べる行為であるエゴサーチ、いわゆる「エゴサ」もするのだろうか。議員のエゴサといえば、つとに知られているのは河野太郎デジタル担当大臣で、「絡んでもいないのにブロックされた」「知らないうちにブロックされた」という一般ユーザーの報告が相次いでいる。エゴサは悪い行為ではないし、河野大臣自身がそれをしているのか、スタッフなのかは不明だが、国民の代表である政治家、それも大臣が一般国民をエゴサして、自分に都合の悪い意見をツイートする者を片っ端からブロックする行為には多くの批判があるのも事実である。
ちなみに先ほどからの1000万円だが、おそらく根拠は岸田首相が10月7日の参院本会議の代表質問で回答した「前職と同水準になる」であろう。翔太郎氏の公設秘書時代の年収はおおよそでしかないが国家公務員給与等実態調査に鑑みれば、公設秘書は約700万円から1000万円前後(級および号給による)となる。
この件について、国会議員秘書の経験もある野党系の地方議員に話を伺った。
「首相秘書官の俸給は1号俸なら月額で約26万、最高額の12号俸なら月額で約58万円というところでしょう」
俸給とは民間で言うところの給与にあたる。最高額の12号俸ならともかく、こう聞くとそれほどでもないな、と思わされる。