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【元朝日新聞記者】日本、韓国「反日」現象の誤報・誇張が依然として多い
※NiziU(ソース元参照)
いったい「反日」とは何だろうか。最近、反日について考える機会があった。
日本では4月末から5月初めまで「ゴールデンウィーク」連休だ。今年は新型コロナ感染が広がり、東京・京都・大阪・兵庫の4都府県に緊急事態宣言が発令され、家で過ごす人も多いようだ。
休館する映画館も多い中、ミニシアター(芸術映画館)の中には給付金も受けられず営業を続けているところもある。
こうした厳しい状況の中、ミニシアターで話題になった韓国映画がある。キム・ミレ監督のドキュメンタリー映画『東アジア反日武装戦線』(日本タイトル『狼をさがして』)だ。
東アジア反日武装戦線は1970年代の三菱重工業爆破事件など連続企業爆破事件を起こした日本左翼グループだ。
日本帝国主義による植民地支配や労働搾取を批判する目的だったが、過激な行動のため多くの死傷者が発生し、日本ではダブー視する事件となっている。
私はキム監督と日本の配給会社が最初にミーティングをする時から通訳を務めた。実際、1982年生まれの私はよく知らない事件だったが、日本の記者らのインタビューを通訳しながら大きな関心に驚いた。
もともとキム監督は「(日本では)関係者らを対象に上映会をしたい」と劇場公開まで期待していなかったが、多くのメディアが報道し、30館近い映画館で上映されることになった。
◆反日・嫌韓を利用する政治家・メディアを警戒
日本の記者らはまず「なぜ韓国の監督が日本の事件を素材に映画を制作したのか」と尋ねた。
ところがキム監督は基本的に韓国の観客を考えて作ったという。「東アジア反日武装戦線を通じて韓国の加害についても考えることになった」と伝えた。
日本で日本人が日本の加害について批判する構図を見て、「それまで韓国は被害国とばかり考えていたが、加害国であるかもしれないという考えになった」ということだ。
例えば東南アジアに進出した韓国企業による労働搾取など、韓国人が考えるべき韓国の加害もあると考えたのが、キム監督がこの映画を作った理由の一つだ。
ある日本の記者はキム監督に対し、東アジア反日武装戦線の反日の意味を尋ねた。キム監督は「日本帝国主義に反対すること」と答えた。
日本では最近、日本政府に批判的な話をすれば「反日」として売国奴扱いされる雰囲気があるが「それが本当に反日だろうか」と考えになった。
日本の記者と観客がこの映画に関心を持つのは、テロという手段は間違っているが、日本帝国主義による植民地支配や労働搾取に対する批判は日本人として考え直すべき問題という意識もあるからではないだろうか。
「日本人が制作すべき映画」という記者もいた。
東アジア反日武装戦線のメンバーの数人は北海道出身であり、アイヌ民族に対する差別が日本帝国主義に対する問題意識を抱く出発点だった。被害と加害の関係は国家と国家の構図でない場合もある。
アイヌ民族の立場で見ると、日本に侵略された過去は、日本の植民地支配を受けた韓国とも似ているのかもしれない。反日武装戦線の前に「東アジア」がついたのはそのような連帯を想起させる。
キム監督はそのような加害と被害の複雑さを映画で表現した。
「反日」や「嫌韓」は両国の政治家や照会数を増やしたいメディアによって利用されやすいという事実を忘れず国家を越えた広い視野で眺めれば、こじれるだけこじれた日韓関係を解く糸口でも見えるのではないうかと思う。
成川彩/元朝日新聞記者
中央日報 2021.05.08 10:57
https://japanese.joins.com/JArticle/278460