抜粋
しかし中には「なぜその曲が採用された?」とつい首を傾げてしまうほど、本編の雰囲気や内容に即していない曲が採用されることも。今回はそんな平成初期のアニソンの謎に迫りたい。
まずは、1990年から1996年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載され、空前のバスケブームを巻き起こした井上雄彦氏による『SLAM DUNK』。アニメは1993年から1996年まで放送された。
その初代エンディングテーマは大黒摩季の歌う「あなただけ見つめてる」。恋人の好みに合わせることを最優先にした結果、自分の好きなものやアイデンティティを見失ってゆく女性の姿を描いたラブソングだ。
ご存知の通り『SLAM DUNK』は恋愛とは程遠い青春バスケ漫画。どうしてこの作品に「あなただけ見つめてる」のような楽曲が使用されたのかについて、大黒はかつてのインタビューで、作詞時に原作を読み終えないまま曲を作ってしまったことを明かし、あらためて読み終えた後に「その内容の深さと感動で、痛い女子の根性ラブ話の歌詞にしてしまったことを申し訳なく思った」と後悔している様子をみせた。 中略
また同じく90年代のアニメで大ヒットを記録した楽曲といえば、JUDY AND MARYの「そばかす」もそうだろう。かつて「人斬り抜刀斎」として恐れられた緋村剣心の生きざまを描いた漫画『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』。同作は1996年から1998年にかけてアニメ化されており、その初代オープニングテーマに起用されたのが、ジュディマリ9枚目となるシングル「そばかす」だった。
失恋した女の子のせつない気持ちを歌った曲だが、こちらもアニメの内容が殺伐とした時代物であることから、作品の雰囲気に合っているとは言いがたい。同作は2023年にフジテレビ系“ノイタミナ”で再びアニメ化されることが発表されているが、過去のアニメを見てジュディマリのポップな曲調とるろ剣の組み合わせに驚く若い視聴者も多いのではないだろうか。
なぜ『るろ剣』の主題歌が「そばかす」だったのかについてはメンバーそれぞれがインタビューなどで繰り返し語っており「3日で仕上げた」という伝説もあるほど。音楽雑誌『WHAT’s in 』のジュディマリ特集ムックのインタビューによると、3rdアルバムを作り終え、ツアーに向けて準備を進めていたところに突然アニメタイアップの話が舞い込んできたそうで、しかも「2日で曲を書いてくれ」と頼まれたのだとか。
「不良少女」の詩を書きたかったYUKIはアニメソングというヒントから『キャンディ・キャンディ』を連想し、それで生まれたのが「そばかす」の世界観。メンバーは時代劇という詳しいアニメの内容すら知らされていなかったそうだが、多忙だったバンドが無茶なスケジュールの中で“怒り半分”でレコーディングに臨み、見事納期3日で完成させたこの曲が結果的にはミリオンヒットを記録した。
全文はソースをご覧ください