「移住失敗」「もう限界、引っ越します」
地域おこし協力隊員だった男性(34)が「YouTube」に投稿した動画が300万回超再生されている。
男性はコロナ禍で行動制限が多い都会暮らしに疑問を抱き、小学校教員を退職して地域おこし協力隊に応募。
2021年に妻子と共に東京都調布市から四国地方の山間部の限界集落に移住した。
しかし、地域振興の活動の中で地元の顔役的な数人との関係が悪化したという。
男性は「集落の大半の人とは仲良くさせてもらい、農作業や猟など様々な体験をさせてもらった」と感謝しつつ、「身に覚えのないうわさ話が出回り、親しかったのに関係がギクシャクしてしまった人もいた」と振り返る。
男性は「人間関係の問題はどこでもあるけど、私が行った集落では都市部のような付かず離れずの関係は許されなかった。郷に入るか、出るかの二者択一だった」と話す。
動画が多く再生されていることには「とても想像していなかった反響で驚いている」と話す。
男性が移住した自治体の担当者は「任期の途中で辞められたことは残念に受け止めている。動画には事実もあれば、詳細は控えるが歪曲(わいきょく)されていると感じる点もある」と話す。
今回の件を受けて、地域振興の業務に関するやりとりは、地域おこし協力隊員と地元住民の直接連絡は避けて自治体が間に入るようにしたという。
昨年には東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の人口が1975年の調査開始以降初めて減少するなど、コロナ禍で注目が高まっている地方移住。
男性は「後になって知ったが、過去にも同じようなトラブルで地域を去った隊員がいた」と言い、移住者の定住率を事前に調べなかったことを後悔している。
一方で「東京で田舎暮らしに興味を持ち続ける生活だったら、それはそれで後悔していたと思う」とも言う。
現在は東京に戻らず、別の地域の山間部で新たな移住生活を始めている。