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千葉県出身ランナー、なぜ強い? 駅伝界で一大勢力を築く背景
今月2、3日に開かれた第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。オープン参加の関東学生連合を含め、箱根路を走った210人のランナーのうち千葉県の高校出身者が22人を占めた。都道府県別では次点の埼玉(17人)を5人上回り、堂々のトップ。元日の「ニューイヤー駅伝2023inぐんま 第67回全日本実業団対抗駅伝競走大会」でも6区で区間賞を獲得したトヨタ紡織の羽生拓矢(八千代松陰高卒)をはじめ、トヨタ自動車の丸山竜也(専大松戸高卒)やSGホールディングスの鈴木塁人(流通経大柏高卒)らが好走した。
こうした活躍の背景について、柏市立酒井根中学校で陸上部の顧問を務める小川健太さん(32)は「中学駅伝が盛んなこと。これが大きな要因だと思います」と話す。同校は昨年10月、第74回東葛飾地方中学校駅伝競走大会(東葛駅伝)で初優勝。余勢を駆って11月の県大会、12月の全国大会も制した。県勢として全国の頂点に立つのは4度目の快挙だった。
中学駅伝は陸上部だけでメンバーをそろえることが難しく、さまざまな運動部から「助っ人」を集めてチームを編成するのが一般的だ。中学校は高校などと異なり、有望な生徒を集めることもできず、駅伝だけを強化するのは難しく、大会に出場できない中学校も少なくない。こうした中、東葛地域6市の公立中学校のほぼ全校が参加する東葛駅伝のような大会は珍しく、千葉の裾野の広さを示している。
「千葉では東葛駅伝に出て駅伝の楽しさを知り、高校、大学で取り組む生徒が多い」と小川さん。自身も柏市立逆井中1年の時に東葛駅伝に出場したことで駅伝の楽しさを知り、サッカー部から陸上部に移った経験を持つ。その後、日体大柏高、山梨学院大と進み、駅伝に関わり続けた。
「助っ人」が本格的に長距離に転向するのは、中学生に駅伝の魅力を上手に伝えられる指導者が多いことも背景にあると小川さんは考えている。「指導者の層の厚さは一朝一夕で出来上がるものじゃないし、すぐに消えるものでもない。千葉の駅伝の懐はかなり深いと思います」