神戸市兵庫区の集合住宅であった火災。当時、現場近くにいた人がその時の様子を証言した。
「パジャマ姿の男性が外で『火事だー』と叫んでいた。『消防車を呼んで』と叫ぶ人もいた」。友人との食事の帰り、原付きバイクで現場前を通りかかった大学生、佐野駿さん(21)=神戸市兵庫区=はこう話す。
当時は火災が起きたばかり。現場の集合住宅の入り口から、住民とみられるパジャマ姿の男女十数人が飛び出してくるのを目撃した。「若い人はおらず、高齢者や男性が多い印象だった。みんなぼうぜんとしてビル横で立ち尽くしていた」と振り返る。
優先度を決める「トリアージ」を医師らが行っているようだった。「現場は騒がしかったので医師は声を張り上げていた。(心肺停止を意味する)CPAという言葉が繰り返し耳に入ってきた。明らかに亡くなったと判定された人は黒色のタグがつけられていた」と声を落とす。
佐野さんが着いた時、集合住宅から炎は見えず、大量の黒い煙が1階の入り口や窓から噴き出してくるのが見えた。自身も消火活動に参加しようとしたが、消火器が見つからなかったという。佐野さんは「いざ火事を目の前にしたらパニックになった」と語った。【古川幸奈】