あわせて読みたい
【時事通信】米軍の「共同交戦能力」搭載へ イージス・システム艦2隻 集団的自衛権行使にも・防衛省
日米の情報共有が加速化するが、集団的自衛権行使の目標選定に使われる可能性もある。
CECはミサイルなどの目標をリアルタイムで共有する情報ネットワーク。最新型の海上自衛隊のイージス艦2隻には搭載されており、防空網が拡大する。
防衛省は国家安全保障戦略など3文書改定に基づき迎撃、反撃能力(敵基地攻撃能力)を一元的に運用する統合防空ミサイル防衛(IAMD)の構築を決定。CECはその一角を担い、2023年度予算案に計上したイージス・システム搭載艦の整備費2208億円にCEC取得費が含まれる。
CECは複数のイージス艦や早期警戒機が探知、追尾したミサイルや敵機の情報を同時に共有する。レーダーの死角になってもCEC機能があれば別のイージス艦が追尾したデータを共有して迎撃することが可能だ。自艦のレーダーに見えなくても、共有した情報で撃墜する手法は「エンゲージ・オン・リモート(EOR)」と呼ばれ、米軍が採用している。
海自トップの酒井良海上幕僚長は記者会見で、米艦と連携してEORを行うことは「理論上は可能」と述べている。
昨年11月に米ハワイ沖で実施されたミサイル迎撃試験では、海自イージス艦「まや」(神奈川県・横須賀基地)が探知した情報をCEC経由で同艦「はぐろ」(長崎県・佐世保基地)に提供した。
日米のイージス艦がネットワーク化されれば、北朝鮮がミサイルを米領域に向け発射した場合、海自が探知した情報を迎撃する米艦に提供することが可能だ。一方、提供した情報が米国の武力行使に使われれば、憲法解釈上認められない他国の武力行使と一体化する恐れもある。防衛省は「具体的に『この目標を方位何度・角度何度で撃て』と伝えない限り、一般的な情報提供の範囲にとどまり憲法上の問題は生じない」などとしている。
日本が米国の情報に基づき武力行使する事態もあり得る。台湾有事に米軍が介入し、集団的自衛権を行使できる存立危機事態に認定されれば、米艦を標的にしたミサイルを迎撃できる。中国軍が米艦にミサイルを発射し、海自イージス艦が米国の要請を受けて撃墜すれば、中国から日本が「参戦」したとみなされる可能性もある。
1/22(日) 6:52配信 ヤフーニュース(時事通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8cdcfa768098fd4b30fb5ae877cca549d394b408