阪神　中野拓夢が鳥谷臨時コーチとの再会心待ち　首脳陣も期待「内野守備面のリーダーに」

　阪神・中野拓夢内野手（26）が20日に愛知・岡崎市内の岡崎中央総合公園野球場で自主トレを公開。「問題なく動けている。完璧に仕上がった状態でキャンプを迎えたい」と順調な調整をアピールした。3月から始まるWBCへの選出も決定的。「いつ呼ばれてもいいように、準備はできている。自分のアピールポイントは足だと思っているので、代表でしっかり盗塁を決めて勝利に貢献したい」と表情を引き締めた。

「過去のWBCで印象に残るプレーは？」と問われた中野は「やはり、あの鳥谷さんの盗塁ですね」と2013年大会第2ラウンド・台湾戦（東京ドーム）で同球団OBの鳥谷敬が1点ビハインドの9回二死一塁から決めた乾坤一擲のスチールを挙げた。ルーキーイヤーの21年に盗塁王のタイトルを獲得した背番号51も「自分もチームを勢いづけることができるような走塁がしたい。そうでないと国際大会では勝てないので」と虎のレジェンドによる〝伝説〟の再現を誓った。

　5年連続でリーグ最多の失策数をマークしている阪神は守備難克服を期し、春季キャンプ（沖縄・宜野座）に臨時コーチとして鳥谷氏を招聘予定。中野も「守備での意識や準備を学びたい」と尊敬する大先輩との再会に胸を膨らませている。

　現役時代、当時ルーキーだった鳥谷氏に遊撃の定位置を譲った藤本内野守備走塁コーチは「トリは試合本番でも力みがまったくなくミスもほとんどしなかった。中野も技術の高い選手だが、自分自身を試合の中でどのように制御するかを彼から学んでほしい」と語る。

　コーチ、一軍監督（12年～15年）として鳥谷のプレーを常に間近で見てきた和田二軍監督も「鳥谷は〝堅実を絵に描いた〟ような内野手だった。安定感もあり投げミスもほとんどなかった。彼みたいな選手がいれば、そりゃ投手は楽だったろうよ」と振り返った上で「やはり彼のようにセンターラインを引き締める内野手が守備力向上のためには必要。実績や年齢を考えても中野には内野守備面のリーダーになれるよう成長してほしい」と猛虎次世代の〝守る将軍〟となるよう期待をかける。

　俊足を生かした広い守備範囲を売りとする中野だが、昨季の失策数は12球団最多の18。レジェンド鳥谷氏のエキスを存分に吸収し、確実性を身につければ一回りも二回りも選手として大きく成長できるはずだ。プロ3年目となる今季は世界でもセ界でも〝アレ〟を狙いたい。