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人間の脳はやわらかい。発泡スチロールの10倍も簡単に壊れてしまう
👉人間の脳はやわらかい。
人間の脳は、我々が思っている以上にやわらかいことが新たな研究であきらかとなった。
圧力に対する抵抗力は、梱包に使われる発泡スチロールよりも遥かに弱く、ゼリーや魚類の白子のようなものなのかもしれない。
イギリス、カーディフ大学の研究チームは、生きている人間の脳の物理的特性をもっと正確に測定する方法の開発に着手した。
MRIスキャンとコンピュータ・モデリングを組み合わせて、生きている被験者の脳のもろさを計算したところ、脳がふにゃふにゃであることが判明したという。
脳神経外科手術中に、脳の組織がそれに触れる器具にどのように反応するかについて、私たちが知っていることのほとんどは、切り刻んだり、除去されて、化学物質(ホルマリン等)に保存された脳から得ている。
このような状態は、組織の剛性と回復力を正しく測れない可能性がある。
そこでカーディフ大学のニコラス・ベニオン氏らは、頭蓋内の脳の位置を変えるために、うつぶせ状態と仰向けの状態の人のMRIをそれぞれ撮影した。
このデータを、機械学習アルゴリズムで分析したところ、頭蓋につながる脳や組織のさまざまな物質的特性を解明することができた。
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圧力がかけられたときに、脳がどの程度崩れるのか、横向きに押されたとき、脳がどのような反応を見せるか、結合組織がどれくらい弾力性があるかを、数値で表した。
「まったく保護されていない脳は、驚くほど剛性が低く、簡単にバラバラになってしまいます。思った以上に、脳はとても柔らかいのです」ベニオン氏は言う。
発砲スチロールの10倍も簡単に壊れてしまう
脳は、発砲スチロールの10倍も簡単に圧縮することができ、横から押されたときの反発力は、ゴムの1000分の1で、その柔らかさはゼリーに匹敵することがわかった。
ベニオン氏によれば、このアルゴリズムは、脳と頭蓋をつなぐ組織もかなり柔らかいと計算し、これはおそらく、脳が急激に動かないように守るためだろうという。
「脳が非常に柔らかく、壊れやすいものであることは以前からわかっていたが、この新たな研究によって、その考えがより正確であることがはっきり確認され、繊細な外科処置の情報を適切に伝えることができるようになった」と、カリフォルニア、スタンフォード大学のエレン・カール氏は言う。
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今後の課題は脳の位置変化を予測すること
だが、この新しい方法では、スポーツや交通事故などによる頭部の外傷のように、ただ頭の位置を変えるよりずっと激しい動きの場合に、脳がどのように変形するのか、完全には把握できない可能性がある。
このような状況では、脳内の液体の流れが物質特性を変化させる可能性がある。
研究チームは、このモデルを使って、術前のMRI画像をもとに、手術中に個々の患者に起こると思われる脳の位置変化を予測することができるようになることを期待している。
これにより、手術器具が目当ての患部に到達するまで何度も挿入し直す必要はなくなり、体を傷つける侵襲性をより少なくできる可能性があるそうだ。
この研究は『Journal of The Royal Society Interface』に掲載された。
References:The Human Brain Is So Squishy It Collapses Under Its Own Weight | IFLScience / The human brain can be squished 10 times as easily as polystyrene foam | New Scientist / written by konohazuku / edited by / parumo
追記(2023/01/13)発砲を発泡と訂正して再送します。