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「バースの再来」は「神のお告げ」で帰っていった… 阪神ファンが熱狂し落胆した歴代助っ人を振り返る
「神様、仏様、バース様」と虎党から熱狂的に崇拝された、元阪神のランディ・バース氏(68)が野球殿堂入りを果たした。1985年の阪神日本一に大きく貢献し、2度の3冠王に輝いた「NPB史上最強助っ人」の選出は〝当然〟といっていいだろう。
しかしバース氏が阪神を去った80年代後半以降、チームは「暗黒時代」と呼ばれる長い長い低迷期に突入。「バース様」の幻影を追い求める阪神ファンと在阪メディアは、長打力を売りとする新外国人選手がチームに新加入するたびに「バースの再来や!」と勝手に期待をかけ、盛大にズッコケ続けてきた悲しい歴史がある。同氏の殿堂入りを機に「バースの再来」と呼ばれてきた歴代ガッカリ助っ人たちを振り返ってみたい。
(1)マイク・グリーンウェル(1997年)
「バースの再来」の代表格といえば何といっても彼だろう。MLB通算130本塁打。オールスターゲーム2度出場(88、89年)。シルバースラッガー賞受賞(88年)などの勲章を胸に暗黒時代ど真ん中の阪神に入団したこの男は、「大物メジャーリーガー」として特大の期待を寄せられた。球団が支払ったとされる金額は、契約金も含めれば4億円を超えていたとも言われる。テンガロンハットを頭に来日したアメリカンなファッションはカッコよく見えたんや…。
ところがグリーンウェルは春季キャンプ中に突如米国へ帰国すると、故障を理由にシーズンが開幕しても現地にとどまったまま。4月下旬にようやく再来日したが、5月10日の巨人戦(東京ドーム)で右足指に自打球を当て骨折。同月14日には会見を開き「野球を辞めろという神のお告げがあった」と発言し、チームを去って行った。阪神での出場はわずか7試合。放った安打は6本、本塁打数は0だった。コスパ最悪やろ…。
(2)ジャスティン・ボーア(2020年)
記憶に最も新しい「バースの再来」といえばこの男だろう。阪神入団が決定した際、谷本球団本部長(当時)が「似ているタイプの選手? バースですかね」と答えた時点でフラグが立っていたような気さえする…。
メジャー通算6年で92本塁打という実績もあり、慢性的な貧打に苦しんでいた矢野阪神の救世主と期待されたが、左投手に特に苦しみ、開幕から18打席連続無安打の大ブレーキ。チームもボーアと歩調を合わせるように2勝10敗と開幕ダッシュに失敗した。最終的には打率2割4分3厘、17本塁打、45打点と〝そこそこ〟の数字を残したが、この年限りで阪神を去った。
(3)ロブ・ディアー(1994年)
暗黒時代を象徴するガッカリ助っ人と言えばこの男も忘れてはならない。高知・安芸での春季キャンプでは特大の当たりを連発し、急きょ球場には「ディアーネット」と呼ばれる新たな防球ネットが設置されたほど。ところがパワーこそあったものの、コンタクト率に難があり、シーズンが始まると「扇風機」とやゆされるほど三振を量産。出場は70試合にとどまり、打率1割5分1厘、8本塁打、21打点という成績で終わった。それでも今になって考えてみれば、グリーンウェルよりは随分とマシやったなあ…。
(4)ウィリン・ロサリオ(2018年)
前年セ・リーグ2位だった金本阪神が、覇権奪回を期し獲得したのがこの男。韓国球界で打率3割3分9厘、37本塁打、111打点の好成績をマークした大砲候補に、チームは推定年俸3億4000万円の大金を用意した。春季キャンプの実戦で3戦連続本塁打をマークした際には「ええの獲ったわ!」とこの上なくウキウキしたんやけどなあ…。
開幕4番で臨んだシーズン本番では、外へ逃げる外角球にまるで対応できずに三振を量産。前出のディアーを思い出した古株の虎党も多かったのではないだろうか…。致命的な弱点を克服できぬまま、6月にはファーム落ち。出場75試合で打率2割4分2厘、8本塁打、40打点という成績に終わった。開幕構想が大きく外れた阪神も屈辱の最下位でシーズンをフィニッシュ。金本監督の事実上の解任に直結した。
そんな阪神は今オフ、新外国人野手としてシェルドン・ノイジー外野手(前アスレチックス3A)とヨハン・ミエセス外野手(27=前レッドソックス3A)を獲得。「過度な期待は禁物」と経験上、頭では理解していても、それでもシーズン開幕前にはウキウキと「バースの再来」の予感に心躍らせてしまうのが虎党の性というものだ。18年ぶりとなるアレのためにも、今季こそ〝大当たり〟を引いてほしいわ~。
東スポWEB
https://news.yahoo.co.jp/articles/d920a1d2026b7a7a27fe1e48db0cd7736e8b396e