阪神・岡田監督、長くやるなんて思ってないよ　だから最初から勝ちにいくんよ　「今の選手は野球にすごい興味を持っとんな」

阪神・岡田監督、単独インタビュー（４）

――今の選手とのコミュニケーションで気質に違いを感じるか

「今の選手は野球にものすごい興味を持っとんな。それはええことよ。新しい発見のことを言ってやると、ものすごい興味持つ。『今まで野球やっていたけど、こんなことあるんや』と」

――昔はそういう選手は少なかった？

「いやいや、昔はそんなこと皆、分かっていたやんか。例えばランナーが走って、キャッチャーのワンバンの送球をタッチする際、タッチは上から下やというのが分かっていない」

――意外と教えられてきていない

「いや～、知らんことが多い。そんな一言でも言うと『えっ！　そうなんですね！』ってな。盗塁されたとき、タッチがワンバンで下から上でうまいこと捕っても、全部セーフになってまうやんか。ワンバンはある程度、ギャンブルになるんやから上から下なんよ。そんな小っちゃいことでも、今の選手は新しいことになる。だから野球に興味を持ち出すんよ」

――年の差は関係ない

「それはないよ、全然。野球っていうのは、そんな変われへんわけやから」

――今の選手はトラックマンなどでデータの知識量は多い

「俺は前の監督のときから『データは頭に入れておけ』としか言ってない。やっぱりゲームが始まってからの感性が大事よ。だから野球をもっと知らなあかん。細かいことまでな。もっと興味がわいて、いろんなことやるようになるよ」

――今回の監督就任後に「そんなに長くは…」と話していたが、実際は

「長くやるなんて思ってないよ。しんどいわ（笑）。ホンマよ、しんどいって（笑）。だから最初から勝ちにいくんよ。暗黒時代みたいに５位、６位を繰り返すチームが勝ちにいくって言うと笑われるけど、力あるねんから」

――逆に言えば重圧になるが

「そりゃ、勝てへんかったらしゃあないよ（笑）。１２球団皆、勝ちにきてるわけやんか」

――後任の監督は念頭に置いているか

「いや、だから１年目に勝てへんでも辞めへんって（笑）。心配せんでもええよ、そこは。まあ、順位はええとこはいくし、（後継者探しは）おいおいやな。とにかく１年やってみて、そこでコーチとか新しいのを入れたり、そうなると思う。慌てる必要はないな」

――しつこくなるが実際、後継者探しの任務はあるのか

「ある程度、それは言われたよ、〝偉い人〟に…（笑）。偉い人というたらおかしいけどな」

――やはり阪神タイガースの野球は阪神生え抜きＯＢでやっていく

「当たり前や。全然、違うんやから。もともと俺は補強でもあんまり外のやつを獲ろうとは思わへん。（前回監督時は）ＦＡも新井（現広島監督）だけで、それはシーツが辞めるということがあったから。そら、違う血もちょっとは必要やけど。外国人だって本当はゼロで勝ちたいんよな。俺、新外国人も球団にクリーンアップを打てるヤツなんか、一回も頼んだことない。ずっと６番でエエって言ってる」

――例えばＦＡがなかった時代の常勝西武ライオンズのイメージ…

「だから強かったんよ。理想やで。正直、力があったらＦＡなんかで獲る必要ないわけやから。はっきり言うて」　（終わり）　＝聞き手・岩﨑正範