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意外と知らない?!自転車「飲酒運転」の法的問題
🤔「車両等」には、道交法上「軽車両」とされている自転車も含まれます。
酒酔いの状態で自転車を運転したことが何度かあります。警察に捕まることはあるのでしょうかーー。
自転車の飲酒運転をしたことがあるという人から、このような相談が弁護士ドットコムに複数寄せられています。「ビール片手に自転車を運転している人を見たが、このような場合は通報したほうがいいのか」など、実際に飲酒運転を目撃した人も。
酒を飲んだ後に自転車を運転した場合、車と同じように処罰される可能性はあるのでしょうか。
道路交通法(道交法)には「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない 」と、飲酒運転を禁止する規定が置かれています(65条1項)。
ここにいう「車両等」には、道交法上「軽車両」とされている自転車も含まれます。自転車の飲酒運転も、車と同じように禁止されている違法行為なのです。飲酒している人に車両を提供すること、運転する予定がある人にアルコールを提供すること、運転手が酒気帯び状態であることを知りながら運転させることなども禁止されています(65条2項から4項)。
ただし、自転車に乗らずに、押して歩く場合には、「歩行者」として扱われます。飲酒後に自転車を持ち帰らなければならないときは、乗らずに押して歩けば、飲酒運転にはあたりません。
自転車の飲酒運転は違法行為になりますが、処罰においては自動車と違いがあります。
道交法で規定されている飲酒運転は「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類。酒酔い運転は「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」で運転することとされ、数値上の明確な基準はありません。まともな会話が成立するか、まっすぐ歩くことができるか、などといった本人の状態をみて、酒酔い運転にあたるかが判断されます。
一方、酒気帯び運転は、「呼気中のアルコールが1リットル中に0.15mg以上含まれる状態で運転すること」と数値で規定されています。
自転車で酒酔い運転をした場合は、車と同じように「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。しかし、酒気帯び運転の罰則については「軽車両を除く」とされているため、軽車両である自転車は処罰の対象にはなりません。
●「処罰対象じゃないから大丈夫」というわけではない
もちろん、酒気帯び運転が処罰の対象となっていないからといって、自転車での飲酒運転が許されるわけではありません。そもそも、道交法で自転車の飲酒運転は禁止されているので、そのルールを破っている時点で違法行為になっています。
また、呼気中のアルコールが基準値内だったとしても、呂律が回らないなど、飲酒でまともな状態ではないと判断されれば「酒酔い運転」として逮捕・罰則の対象になる可能性はあります。警察庁の「自転車の交通指導取締り状況」によると、2021年に酒酔い運転によって検挙された件数は103件となっています。
「自転車は車とは違う」「少量の飲酒だから大丈夫」などと、軽い気持ちで自転車に乗ってしまう人も。しかし、人を死傷させるなど重大な事故を起こした場合は、自動車運転免許の停止処分を受けることもあります。実際に、自転車の飲酒運転で免許停止になった事例も報じられています。自分を守るためだけでなく、周りを巻き込まないためにも、飲酒運転は厳禁だと意識することが必要です。