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【Money1】韓国ソウル地下鉄「輸送するほど赤字」でもう限界。料金は輸送原価の63%にしかなってない
先にご紹介したとおり、保守系の呉世勲(オ・セフン)現市長は「政府からの支援がなければ料金は値上げするしかない」と訴えているのですが、政府からの支援表明はありません。
Money1でもご紹介しましたが、ソウル市地下鉄は呆れることに「輸送原価」を割った料金設定になっています。
上掲のとおり、ソウル地下鉄の基本運賃は「10km以内:1,250ウォン」です。で、コストがいくらかというと……。
基本運賃:1,250ウォン
輸送原価:1,988ウォン
「1,250ウォン」しか料金を取っていないのに、原価は「1,988ウォン」です。
つまり、基本運転とっても「738ウォン」の赤字。人を運べば運ぶほど赤字が膨らむ料金体系です。
料金は原価の62.9%にしかなっていないのが現状です。
2015年には輸送原価が「1,270ウォン」でした。つまり2015年時点では(料金は2015年から据え置き)、輸送原価の98.4%をカバーできていました。
韓国では鉄道料金は一種の社会保障になっている節があって、安くなければいけないという風がありますが、これぐらいなら公的な負担も少なくて済みました。
ところが、原価の47.1%も公的負担となってもう限界です。
ソウル市では、少なくともこの原価に対する割合を80%水準まで引き上げることを検討しています。80%ということは、1,590~1,600ウォンにするということです。差額でいえば340~350ウォンです。
ざっくり10分の1にして、日本円で「34~35円」。
さっさと上げてしまえばよさそうなものですが、値上げが決定するまで半年はかかると予測されています。その間も赤字はたまっていくのです。
(吉田ハンチング@dcp)
2022.12.29
https://money1.jp/archives/96499