阪神　岡田監督が語る〝育成の極意〟と虎の未来「ええとこは行くよ」

　阪神・岡田彰布監督は秋季キャンプを経て、来年2月のキャンプでは、いよいよアレ（優勝）への中心メンバー選定作業に入る。並行して指揮官に託されているのが、近年、伸び悩みを指摘されている高卒野手層や覚醒へ待ったなしの来季3年目を迎える和製大砲・佐藤輝明など、次世代のスター選手と指導者の育成だ。就任初年度から〝短期政権〟であることを自認する65歳の知将は虎の未来をいかにして描くつもりなのか…。

　――就任時にフロントから外部補強に頼らない育成面の期待もかけられた。近年のVチームには高卒2、3年目野手のレギュラーがいるが

　岡田監督　阪神だけよな、結局な。高卒（入団）のレギュラーいないのは。即戦力として二軍からの底上げは必要よな。高卒2、3年で一軍のレギュラーを取る。そういう選手を作らなあかんよな…お～ん…でないと、いつもドラフト頼みになってしまうしな。

　――助っ人やFAも含めた編成ビジョンは

　岡田監督　もう俺は、あんまり外のやつ取ろうとは思わない。FAも新井だけやで。（阪神で）監督した5年間で取ったの。もちろん、ちょっとは違う血も必要やけどな。理想は外国人ゼロで勝ちたいと思っているんよ。これまでも中軸打てる新外国人なんか1回も頼んだことないよ。6番でええって。今回もそうやしな。クリーンアップでバンバン打つ外国人なんて、そう簡単にけ（来）ぇへんよ。FAにしても今いるメンバーに力があったら取る必要なんてないわけやんか？　はっきり言うて。

　――来年、高卒組の前川、井上らが一軍定着すれば、そんな生え抜きのみの和製オーダーも

　岡田監督　それが理想よな。あとは実戦でどう打たせてやるか。でも、そのためには投手とのタイミングとり方や駆け引きとか、攻められ方とか。そんなんも、教えておかなあかんよな。練習でええ感じなのに試合では三振ばっかり、とかあるやろ？　そんなんで辞めていくヤツ、いっぱいおる。能力あるのにな。そこを何とかせんとな。

　――よく「ひと言ふた言で選手は変わる」と

　岡田監督　いや、それはもう本当、変わる。若いのは特に。なんかの1打席で〝ポン〟とタイミングの合うファウルとか「アレ？」と思うときがあるんよ。だから、ヒントを与えてやるというな。ガラッと変わるよ。

　――その極意は

　岡田監督　やっぱり見てて、一番ズレている部分を言うてやらな。若いやつほど、5つも6つも変えなアカン部分ってあるやろ？　でも、一度に5つ6つは無理なんよ。だから、この1つを変えたら、ちょっと2つぐらいようなるやろうなっていう感じでな。

　――高卒ではないが、来季で3年目の佐藤輝も「グリップ位置の修正」など、指導のアプローチは常にピンポイントで…

　岡田監督　まずは、そこよな。秋のキャンプはWBC（侍ジャパン強化試合）で最初おらんかったから、あんまり触ってへんけど。グリップもキャンプ来て、最初は意識して落としてたけど、最後また上がってたよな。そういうクセがついてしもうてんねん。鏡の前で構えたら分かると思うんやけど（笑い）。たぶん無意識によ。一番アカンやつや。無意識に、というのはな。

　――「入ってきたときが一番よかった」とも

　岡田監督　お～ん、ホンマになあ…おかしな話やで。でも、そのまま消えたヤツもいっぱいおる。『昔はあんなに…』っていう…入ったとき150キロ投げてたのに、辞めるとき135キロみたいなピッチャーいっぱいおったやろ？　それと一緒やんか。

　――育成と並行して、岡田監督には指導者育成のミッションもあると聞いた。後任監督などのイメージは現段階で浮かんでいたりするのか

　岡田監督　ある程度はな…言われたよ。偉い人から（笑い）。まあ来年やってみてやな。そこでまた、考えると思うな。

　――一方で来季「アレ」すれば長期政権も

　岡田監督　ないない（笑い）。思ってない。オマエそんなん…しんどいって。いくつやと思うてんのや（笑い）。

　――1年目から「アレ」へ待ったなしだ。最後に意気込みを

　岡田監督　力があるから勝ちにいけるわけで、今のチームに〝段階〟はいらんと思ってるしな。だから最初から勝ちにいくんや。でも12球団どこも勝ちにいっているわけやし、最終的に勝てへんかったら…しゃあない（笑い）。でも、1年目に勝てへんでも辞めへんって。それだけは言うとく（笑い）。まあ順位は関係ないって言うたけど、ええとこは行くよ。必ずな。当たり前やんか。