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揺らぐ金正恩政権 北の若者は韓国に夢中、超インフレで飢餓が進行 娘の登場で後継者アピールも「社会は内部から腐ってきている」識者
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「北朝鮮の内部に聞くと、北朝鮮の人間は娘を後継者とみている。過去に同じようなことがあったからだ」
韓国の北朝鮮向けラジオ放送「自由北朝鮮放送」の金聖玟(キム・ソンミン)代表は夕刊フジの取材にこう話した。
北朝鮮メディアは11月19日、「火星17」とみられる大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を指導する正恩氏に付き添う娘を公開。同月27日にも正恩氏が娘を同行する様子を報じた。いずれの日も朝鮮人民軍の幹部が同席したと伝えている。
金代表は「金正日(キム・ジョンイル)総書記が金日成(キム・イルソン)主席の後継者になる前に、日成氏が連れてきた正日氏に軍のトップが敬礼した場面があり、正恩氏のときも同じことがあった。正恩氏が今回、娘を軍人の前で紹介しているのを見ると、北朝鮮の人民は自動的に後継者にするのではないかと思う」と解説する。
金代表は今月9日、参院議員会館で拉致被害者の家族会などが開いたセミナーで講演した。
講演では、自由北朝鮮放送が入手した北朝鮮の内部文書を元に、北朝鮮の惨状を明らかにした。コロナ禍での住民動向を正恩氏に報告した文書には、<新型コロナウイルス感染症のため、苦難の行軍時期よりさらに困難になりそうだ>という流言飛語が住民の間に広がっていることが記されていた。
「苦難の行軍」とは金正日政権下の1990年代後半、約300万人が餓死したともされる悲劇だ。現在も北朝鮮の物価は高騰しており、北朝鮮住民の平均月給でリンゴ1キロすら買えない事態になっているという。
北朝鮮当局は若者たちの行動にも苦慮している。2020年に韓国の映像物を流入・流布させた場合の最高刑を死刑とする「反動思想文化排撃法」が制定された。こうした統制があるにもかかわらず、別の内部文書には韓流に夢中となる若者たちの様子がつづられていた。
ある市では昨年、9000人余りの生徒が韓国ドラマなどの不純録画物を見たという事実を自首し、3000人余りの生徒が不純録画物の入ったUSBメモリを所属組織に提出したという。
こうした国内状況を踏まえ、金代表は「北朝鮮の社会は内部から腐ってきているのではないかと思う。北朝鮮は社会主義といいながら、実は資本主義文化がこれだけ入っている。正恩政権は末期状態となっている」と分析した。
夕刊フジ
https://www.zakzak.co.jp/article/20221216-VNKLZNM46BJXPHFKTXS2O2SEPQ/