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【読売新聞】「首相は操り人形と化した」…対中傾斜強まるソロモン、中国に仕事奪われ若者は昼から飲酒
中国系の商店が立ち並ぶ首都ホニアラのチャイナタウン。店のシャッターは閉じ、窓は割れ、建物の壁は黒焦げだ。マナセ・ソガバレ首相を名指しし「辞めろ」などの落書きも目に付く。
昨年11月、中国寄りのソガバレ首相に抗議するデモの一部が暴徒化した。夫がスーパーで働いていたという女性(38)は、うつろな表情で「商売あがったりだ」と嘆いた。
ソガバレ政権は2019年9月、台湾と断交し、中国との国交樹立を発表した。今年4月に締結した安全保障協定は中国軍の派遣を可能にするとされ、軍事拠点となる可能性が指摘される。
■穴だらけの道路
ホニアラの国際空港の近くに、「中国援助」と書かれた青いゲートが立つ。来年に開かれる太平洋諸国の競技会で使われるスタジアムだ。米ワシントン・ポスト紙によると、中国の国営企業が約5000万ドル(約68億円)をかけて建設を進めている。
ソロモン諸島の1人当たり国民総所得(GNI)は2300ドル(21年)で、南太平洋の 島嶼とうしょ 国で最低クラスだ。インフラ整備も進まず、首都の道路ですら穴だらけで渋滞が多発している。
農村開発省のサムソン・ビウル次官は「(米豪など)西側諸国の支援は人材育成ばかり。中国はモノを造ってくれる。インフラが整備されれば、産業も誘致できる」と強調する。
一方、国交樹立時を知る政府の元高官は「中国企業がソロモンで利益を得るために対中傾斜を後押ししている。ソガバレ氏はその操り人形と化している」と明かす
住民からは、中国企業への不満も出ている。
ホニアラの廃棄物最終処分場では、養豚を営むリンドラ・ダニさん(38)が残飯を拾い集めていた。豚の餌にするという。
以前は台湾の農場が豚を買ってくれたが、断交で撤退。代わって進出した中国の農場は労働者を本土から連れてきて養豚に従事させた。ダニさんは販路を失い、収入は半減し、豚の餌が買えなくなった。「中国は我々の仕事を奪った」と憤る。
ホニアラ郊外の農村にある教会で牧師を務める男性(52)によると、中国系の大規模な農場ができ、地元で採れた野菜は価格で太刀打ちできなくなった。失業者や学校に行けない子供が増え、昼から飲酒している若者も多い。
(略)
読売新聞 2022/12/17 07:36
https://www.yomiuri.co.jp/world/20221216-OYT1T50341/