2022年12月09日
主に沖縄や九州南部の暖かい地域で自生する、ヤシに似た葉を持つ「ソテツ」。なぜか、大阪市内の公園に生えていました。
誰かが勝手に植物を植える「勝手植え」が、今、市内各地の公園で問題になっています。
■誰かが草や木を「勝手植え」
【記者リポート】
「午前9時40分です。重機を乗せた大阪市の車が公園に入っていきます」
12月9日、大阪・東淀川区の菅原北公園に現れたショベルカー。
規制線が張られて物々しい雰囲気が漂う中、作業員が撤去を始めたのは、市の許可を得ず、いわゆる「勝手植え」された植物です。
12月8日、撤去される前の公園を取材しました。
【記者リポート】
「このナンテンの木も誰かが無断で勝手に植えたもので、市が管理する植物ではないため、撤去の対象となります」
公園の一角に、異様な雰囲気を醸し出す植物。まるでガーデニングのように草木が生い茂る場所もあります。
公園の管理者が確認したところ、これらは全て誰かが無断で植えた「勝手植え」でした。
【十三公園事務所 園山美早紀所長】
「公園が殺風景だから少しでも緑を増やしてあげようと思って、良かれと思って植えてくださった方もいるし、おうちで植木やプランターに植えていて、それがどんどん大きくなっちゃって。育てきれないから、捨てるに忍びないから植えとこうという方もいる」
緑が増え、公園の環境が良くなるようにも思えますが、実はこの行為は、法律違反にあたります。
市が管理する公園に許可なく植物を植えると、都市公園法違反で、懲役6カ月以下、または30万円以下の罰金となることがあるのです。
【利用者は…】
「公園は安全に遊ばせやすい場所なので、そこに緑があるのはいいなって」
「知らない人の方が多いんじゃないんですか?長いことここに住んではる方で、ちょっとぐらいやったら…みたいにやってはるのかなって思ったりしましたけど」
「勝手植え」について、大阪市は全体の状況をつかんでいないものの、昨年度、市内の公園で税金を使って撤去した「勝手植え」は98件に上りました。
十三公園管理事務所は、何よりも、利用者の安全面への影響を懸念します。
【十三公園事務所 園山所長】
「この木(ソテツ)自体は先っぽがとがっていることもあって、子供たちが走り回って目を突いてもいけないし…植物によっては毒もあったり、そういった樹種もありますので、やはりルールにのっとってやっていただきたいなと思います」
12月9日、葉先がとがったソテツから、撤去作業が始まりました。
【記者リポート】
「葉が切り落とされた幹の部分に、今、重機のスコップが入っていきます。かなり根が深いのでしょうか、何度も重機で掘っているんですが、びくともしません」
ソテツと格闘すること10分。ようやく、地中深くまで張っていた根が顔を出しました。
その後、高さ4メートルほどの樹木も、チェーンソーや重機で伐採されます。撤去された植物を見ると…
【記者リポート】
「こちら、今抜かれたハランとナンテンなんですが、ここをご覧ください。底に鉢がみえています。自宅で育てられていたものを誰かが置いたとみられます」
“陶器の鉢”ごと土に植えられていたのです。大阪市によると、鉢ごと勝手に土に埋めるケースは多いということです。
作業開始からおよそ1時間半。「勝手植え」が撤去され、公園は本来の姿に戻りました。
【十三公園事務所 園山所長】
「だいぶすっきりしたかと思います。せっかく命ある植物なので、伐採というのはかわいそうだなと個人的には思いますけれど、必要な場所に必要な樹木を植えておりますので、勝手に許可なく植えるのはやめていただきたいです」
■どうしてだめ?「勝手植え」
https://www.ktv.jp/news/feature/221209-3/