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スーパーに潜む同じパッケージに見えても中身の量がどんどん変化してる!
》》》》》見かけと価格はうらはら!
「あれ、どっちがお得なんだろう?」
世の中、値上げラッシュの時代です。お菓子業界もその例外ではなく同じパッケージに見えても中身の量がどんどん変わっていきます。ステルス値上げ横行のせいで経済学のプロでもうっかり買い物で間違えてしまう、気を抜けない時代がやってきました。
■パッケージは様々
さて、子どもの頃から食べていたお菓子って、還暦すぎた今でもちょくちょく食べたくなるんです。昔ながらの準チョコレート菓子のピーナッツチョコは東京ではでん六、正栄、第一製菓の3社のものが多いですね。味はそれほど変わらないはずなのになぜか私はでん六のピーナッツチョコが大好き。
そのでん六ですが、自社パッケージになっているものと、コンビニやスーパーのPB商品として売られているものがあります。そしてひとつひとつのパッケージがそれぞれ微妙に大きさが違います。
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■普段は「イオン」で買っているのだが…
私の場合の買い方です。普段何も考えないときにはイオン系列のスーパーで売っているトップバリュのピーナッツチョコを買います。1パック90円(税抜、以下同)ですが、スーパーのPB商品なのでなんか一番安い気がするというのが理由です。
懐具合に余裕があるときはセブンイレブンの100円のPB商品セブンプレミアムを買うときもあります。経済評論家は先入観で、「コンビニで買うのは割高だ」と思っているので、普段から買い物の際には厳しい目で見るのです。
でもこのふたつの商品、重さが微妙に違います。イオンのは72g入りで、セブンのは75g入り。なぜ大きさが違うのか? 理由があります。人間は細かい計算が苦手で、計算しないで直観的に買い物するのです。
■計算してみたら…正しかった
これは行動経済学で「ヒューリスティック」と呼ぶ経済行動で、人間は必ずしも正しい答えではないが、経験や先入観によって直感的に「まあ正しいだろう」というものを選ぶ傾向があるのです。
私がセブンで買わずにイオンで買うのは「まあ直観的にそっちの方が安いだろう」と思っての行動です。で、厳密に計算してみるとわかるのですがたいがいのケースではその判断が正しい。100gあたりの価格に直してみるとイオンは125円でセブンは133円ですから、やっぱりスーパーの方がコンビニよりは安かった。
■でも計算してみると…安くないことが!
で、ある日こんなことがありました。激安で知られる業務スーパーででん六のピーナッツチョコが78円で売っていたのです。私の中のヒューリスティックが「買え!買え!」と叫んでいます。で、すぐに手にとってレジで支払ったのですが、手に持った感触でちょっと軽い気がしました。
パッケージを見ると「エコノミーパック」と書いています。日本語に直すと経済的(?)って意味ですが、いったい誰にとっての経済的なのか? じっくり見ると中身が少ないことに気づきます。1パック60g! これはでん六から見て経済的なパッケージになっている!簡単に言えばステルス値上げと同じです。
ちゃんと計算してみたら100gあたり130円。これならイオンの90円のパッケージの方が安かった。ヒューリスティックはしばしば間違えるので、人間、こういったミスが多いのです。
■「一番高く見えるパッケージ」が一番安かった
その後こんなことがありました。東京・吉祥寺のロヂャースででん六のチョコが154円だったのを見て、「これは安くないなあ」と私のヒューリスティックが心の中で叫んだのですが、実はこの通常パッケージは128g入り。ちゃんと計算したら100gあたり120円とこの高そうな袋が実は一番安かった! 人間の直観はこうして毎回間違えるものなのです。
こういった失敗を避けるにはこの記事でやったように毎回スマホの電卓をたたくといいのですが、それって面倒くさいですね。商品パッケージによって内容量がさまざまなのは実に困ったものです。
Sirabeeでは、経済評論家で戦略コンサルタントでもある鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「でん六」の定番チョコを題材に“お得なパッケージの見分け方”をお話しします。
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