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「ワカメみたいな汚れ」を目撃した人も…「洗濯槽」の掃除、ずっとサボっていたら何が起こる?
洗濯槽の掃除に使う洗剤は『塩素系洗濯槽クリーナー』、または『酸素系洗濯槽クリーナー』の2種類。
衣類をきれいに洗ってくれる洗濯機。しかし、中の「洗濯槽」自体が汚れていると、洗い上がりが期待できなくなってしまいます。この「洗濯槽」の掃除を忘れがちな人は少なくないようで、「かなり長いこと掃除していない…」「どれくらい汚れているんだろう」「洗った服にワカメみたいな汚れが付いていたときはぞっとした」といった声が聞かれます。
洗濯機の「洗濯槽」を長期間掃除しなかった場合、洗濯物にどのような影響が考えられるのでしょうか。ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんに聞きました。
“汚れた水の中”で洗濯をしているようなもの
Q.洗濯機の「洗濯槽」にたまる「汚れ」の原因は何ですか。よく言われる「ワカメみたいな汚れ」の正体も教えてください。
有賀さん「まず、洗濯槽にたまる汚れの原因は、洗濯時に衣類から出る繊維や糸くず、衣類に付着していた髪の毛やペットの毛、ゴミ、ほこり、皮脂、洗剤・柔軟剤の溶け残りやカス、水あかなどさまざまです。そして、『ワカメみたいな汚れ』の正体は、これらの汚れをエサに発生したカビが、洗濯槽の裏側にびっしり張り付き、洗濯のときに剥がれ出てきたものです。
カビは温度、水分、皮脂、洗剤カス汚れなどの栄養源がそろうと、どんどん繁殖していきます。洗濯槽はまさに、カビが発生するのに好条件な場所の一つなのです」
Q.洗濯槽の掃除をせず、汚れがたまっている場合、洗濯物にどのような影響が及ぶと考えられますか。
有賀さん「洗濯槽に汚れがたまったままの状態で洗濯をすると、衣類を洗っても“汚れた水の中”で洗濯をしているようなものなので、衣類がきれいになりません。
『しばらく洗濯槽のお手入れをせずにいたら、ワカメみたいな細かな汚れが衣類のあちこちに付着してしまい、取り除くのが大変だった』という経験がある人もいるかもしれません。また、洗い上がりがきれいに見えても、衣類に雑菌が付着して繁殖しやすくなり、部屋干しをしたときに不快な生乾き臭がする場合も多々あります。
洗濯機を買ってから一度も掃除をしていない場合はもちろん、長期間掃除をしていない場合も、洗濯槽の裏側には相当な汚れが全体にびっしり張り付いています。『汚れたバケツの水で雑巾をすすいでいる』のと同じことを洗濯機内でしている、と想像すると分かりやすいかもしれません。汚れがたまり過ぎていると、洗濯槽クリーナーなどを使っても、専門業者の手を借りないと汚れを落としきれないケースもあります」
Q.洗濯槽の掃除方法や、必要な物について教えてください。
有賀さん「月1回程度の頻度で、定期的に洗濯槽の掃除ができると理想的です。掃除に使う洗剤は『塩素系洗濯槽クリーナー』、または『酸素系洗濯槽クリーナー』の2種類です。
塩素系は殺菌作用が強く、汚れや菌を溶かして落としてくれるので、手間も少なくお勧めです。一方、酸素系は塩素系に比べて取り扱いやすく、強い発泡力で汚れを剥がし落とします。『買ってから一度も洗濯機の掃除をしていない』『長期間掃除をしておらず、汚れが強い』『殺菌効果を期待したい』場合は塩素系を、『小まめに洗濯槽の掃除をしている』『剥がれ落ちる洗濯槽の裏側の汚れを確認したい』場合は酸素系を、それぞれ使うとよいでしょう。
洗濯槽の基本的な掃除方法は、とても簡単です。次に紹介します」
【塩素系洗濯槽クリーナーを使う場合】
クリーナーを洗濯槽に投入し、洗濯機の「槽洗浄コース」や「つけ置き洗いコース」のボタンを押して仕上がりを待つだけです。クリーナーを投入する際は、ゴム手袋をつけて行うと安心です。また、クリーナーがないときは、衣類用の塩素系漂白剤でも代用できます。その際は、水50リットルに対して漂白剤200ミリリットルが目安です。
【酸素系洗濯槽クリーナーを使う場合】
塩素系と同様に、規定量のクリーナーを投入して、洗濯機の「槽洗浄コース」や「つけ置き洗いコース」のボタンを押すだけでOKです。酸素系タイプを使う場合は、40~60度程度のお湯を使い、つけ置く時間を長くするとより効果的に汚れを落としてくれます。発泡の力で汚れが剥がれて浮いてくるので、縦型洗濯機の場合は、その汚れをすくい取るネットがあるとよいでしょう。浮いてくる汚れを取り除きながら、汚れが出なくなるまで数度すすぎを行ってください。
酸素系洗濯槽クリーナー以外にも、酸素系漂白剤や過炭酸ナトリウムを使うこともできます。また、通常の洗濯時に投入して、衣類と一緒に洗濯槽もきれいにできるタイプの洗剤も発売されています。
洗剤や柔軟剤の「入れ過ぎ」にも注意
Q.「ドラム式」と「縦型」で違いはありますか。
有賀さん「ドラム式はもともと、縦型と比べて洗濯する際の水量が少なくて済むように設計されており、洗濯槽内に水を多くためられないため、一般的には洗浄効果の高い塩素系の洗濯槽クリーナーが主流です。
いずれにしても、洗濯機の機種によっては使えない洗剤もあるので、お使いの洗濯機や槽洗浄クリーナーの取扱説明書を確認してから行ってください」
Q.その他、洗濯槽の掃除に関する注意点は。
有賀さん「塩素系洗剤を使うときには換気を行ってください。洗濯槽の掃除をする際には、洗濯機のふたや洗剤投入ケース、糸くずフィルター、排水口・排水トラップなどの部品も、糸くずやほこりなどを取り除いて、ぜひ一緒にきれいにしましょう。
また、日頃から洗濯槽の中が乾きやすいように注意を向けることです。洗濯機のふたは常に開けておく▽汗でぬれたり、汚れたりしている洗濯物をそのまま入れない▽洗い終わった洗濯物はなるべく早めに干す―などを心掛けましょう。お持ちの洗濯機に『槽乾燥機能』があれば活用するのも手です。
また、洗濯時に分量以上の洗剤や柔軟剤を入れないこともポイントです。衣類の汚れがひどいとつい、分量以上の洗剤や柔軟剤を使用したくなりますが、入れ過ぎると洗濯槽内に洗剤が残ってしまい、洗剤カスがカビ発生の原因になるからです。
洗濯槽のお手入れはそう難しいものではないので、ぜひ定期的にお手入れをして、洗濯ライフをよいものにしてください」
オトナンサー編集部