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戦中に開通した「世界初の海底トンネル」80歳…内部ツアは即日完売
本州と九州を結び、「世界初の海底トンネル」とされるJR山陽線の「関門鉄道トンネル」が今年、開通から80年を迎え、JR九州は3日、一般客が普段立ち入れない内部を見学できるツアーを10年ぶりに開催した。同社職員は、トンネル内に染み出す海水の排出など保全作業について説明。参加者は、長年にわたり守られてきたトンネルの歴史に思いをはせていた。
関門鉄道トンネルは上下2本あり、全長約3600メートルで、海底よりも下の地中を掘って整備された。同社によると、下り線は戦時中の1942年6月に試運転が始まった。同年7月から貨物列車、同11月から旅客列車が運行を開始。44年には上り線も完成した。現在も、1日に旅客列車114本、貨物列車63本が走る人流・物流の大動脈だ。
見学ツアーは3、4日の2日間分のチケット各45人分が、予約受け付け開始日に即日完売した。3日は参加者が、北九州市門司区の関門海峡沿岸から整備作業用エレベーターなどを使いトンネルの最深部に入った。
同行した同社施設部工事課の笠裕一郎副課長(42)は「トンネルには、海などから塩分を多く含む水が1日600トンも染み出してくる。塩水でレールや電気設備が地上より早く傷むため、異常を見つける特に厳しい目が必要となる」と説明。ほぼ毎日、上下どちらかの運行を取りやめ、作業員が決められた時間内にレールや電気系の補修、点検を行うという。
横浜市から訪れた女性会社員(39)は「海底より深いところにこれだけ長いトンネルを掘り、80年も使い続けるなんてすごい技術だと感じた」と話した。ツアー後、笠副課長は「歴史あるトンネルを守り、90周年、100周年を皆さんと喜び合えるよう、保守作業を続けていく」と語った。
読売新聞 2022/12/03 19:51
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221203-OYT1T50158/