韓国ドラマに登場する「韓国おでん」、日本と何が違う?歴史を紐解いてみた
(前略)
ところで韓国おでんは、日本のおでんとどこが違うのだろうか? そもそも、なぜどちらの国にもおでんがあるのだろうか? 順番に解き明かしていこう。
韓国おでんの特徴と、その発祥を解説
韓国おでんは、日本のものと同様、魚介類を使った練り物が中心だ。野菜の具はあまりなく、日本のモノよりスープが薄味という傾向がある。一番の違いは、日本では専門店や居酒屋など常設店舗で出されることが多いのに対し、韓国では基本的に屋台料理であるところだ。基本的に串に挿した状態で、日本と同様、スープに浸けて売られている。
韓国食文化に詳しいコリアン・フード・コラムニストの八田靖史さんが運営するウェブサイト『韓食ペディア』によると、韓国おでんの汁は、注文した人が自由に飲んでいいことになっているので、スープ替わりに飲む人も多い。屋台で用意されたピリ辛の薬味醤油をつける。代表的な具が、揚げかまぼこの「オムク」。ほかに、コンニャクの「コニャク」、うるち米で作った棒状の餅「カレトク」、春雨入りの巾着「ユプチュモニ」である。
韓国おでんは、日本が植民地にした歴史と深い関係がある。『食卓の上の韓国史』(周永河著、丁田隆訳、慶應義塾大学出版会)が韓国おでんの歴史を描いているので、以下紹介しよう。かまぼこの情報で古いのは、李朝時代後期に医師の李時弼(イ・シピル)が書いた『謏聞事説』に出てくる、朝鮮風にアレンジされたかまぼこの解説。くわしい時期ははっきりしないが、『韓食ペディア』は18世紀前半と推測している。
『食卓の上の韓国史』によると、18世紀前半より後の時代に釜山でかまぼこが流行ったらしい。韓国おでんは釜山が発祥とされるので、その頃の流行が定着したのだろうか。
一方日本では、かまぼこは平安時代までさかのぼることができる。日本と韓国は江戸時代にも、朝鮮通信使が定期的に来日するなど関係が深かった歴史があるので、日本から韓国に伝わったと考えられる。
20世紀に入ると、かまぼこは人気になり、販売量が増える。日本が併合した1910年以降は、かまぼこの行商が定着し、在韓日本人の居住地ができた海岸都市の仁川、群山、木浦、馬山、釜山、元山などで生産される。ソウルの日本人が集住した明洞一帯でも、かまぼこの小さな加工工場ができた。
韓国が解放された戦後、かまぼこという名称は、日本的要素の残滓「倭色」だとして問題視されるようになり、「センソンムク(魚のコンニャク)」という名前にしようという提案が出てくる。1992年11月に国立国語院が提示した「食生活関連醇化案」からは、「オムク」となった。やがて、この呼び名はかまぼこだけでなく、おでん自体も指すように変化していく。日本の新大久保に「韓国式おでんオムク」として屋台が登場したのは、2005年である。ちなみに、日本でおでんは江戸時代の江戸で屋台料理として登場し、昭和初期に大阪で流行している。
やはり日本統治時代に入って独自に進化したキンパも、最近日本で流行しているが、韓国おでんも再流入して流行し始めている。歴史に思いを馳せると複雑な気持ちになるが、食べものの不思議なところは、戦争を介した交流で広がって定着するモノが多いところだ。冬に欠かせない白菜も、日清日露の戦争に従軍した兵士たちが持ち帰って広がった。沖縄のタコライスも、米軍統治下で生まれた料理だ。
韓国おでんを入手できるリアル店舗はまだ多くないようだが、楽天市場、韓国市場やアマゾンなどのインターネット通販で買うことができる。もちろん、レシピ本やインターネットのレシピを検索し、自分で作ることもできる。これからの季節、温かいおでんが恋しくなる日が多くなるだろう。たまには韓国おでんで目先を変えてみるのもいいかもしれない。
12/1(木) 20:30配信
クックパッドニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/62798f92490302075771e497abc87e1a18afed8b
※韓国おでん
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※日本おでん
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