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【ハンギョレ】警察から公取委まで動員…韓国政府、軍事作戦のように貨物連帯ストを圧迫 公取委「法違反の検討」乗り出す
ユン・ヒグン警察庁長、「背後勢力まで捜査」指示
公取委「法違反の検討」乗り出す
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権と与党があらわにしてきた「労働組合に対する敵対的見解」は、安全運賃制サンセット条項廃止と適用品目拡大を要求する貨物車運転手に対する史上初の業務開始命令発動につながった。業務開始命令が下されるやいなや、警察は業務復帰拒否者に対する捜査に乗り出し、公正取引委員会も民主労総全国公共運輸社会サービス労組・貨物連帯本部(貨物連帯)の公正取引法違反の可否を検討する方針を明らかにするなど、ストライキ中止を全方向から圧迫している。
政府・与党が品目拡大なしに安全運賃制3年延長方針を一方的に明らかにすると、24日、貨物連帯は6月に続き今年2回目のストを始めた。政府は貨物連帯が2回目のストに突入する前から、2004年の導入後18年間使われたことのなかった業務開始命令発動のための布石を敷いたものとみられる。貨物自動車運輸事業法(貨物運輸法)に規定された業務開始命令は、運輸従事者(貨物運転手)が正当な理由なしに集団で運送を拒否して国家経済に深刻な危機を招いたり、招く恐れがあると判断されれば、国務会議の審議を経て業務を開始するよう命令する制度だ。
国民の基本権を制限しうるが、発動基準や手続きは貨物運輸法や下位法令に明確に規定されていない。ただし、貨物連帯ストにともなう物流の支障を「社会的災害」とみなして作成した「陸上貨物運送分野の危機対応実務マニュアル」に具体的な内容が出てくる。
国土交通部は業務開始命令前日の28日、陸上貨物運送分野の危機警報水準を「警戒」から最高段階である「深刻」に引き上げた。危機警報は関心、注意、警戒、深刻の計4段階に区分されるが、業務開始命令は「深刻」段階で行うようになっている。
これに先立ち、国土部は貨物連帯のスト宣言翌日の15日、危機警報のレベルを「関心」から「注意」に引き上げ、スト開始前日の23日には「警戒」にさらに上方修正した。6月のストライキ当時、ウォン・ヒリョン国土部長官が「業務開始命令」を口にしたりもしたが、その前提である陸上貨物運送分野の危機警報に対しては言及さえなかった状況とは対照的だ。
しかし、1回目と2回目の貨物連帯ストの6日目を比較すると、物流の支障状況には大きな差がない。いずれもセメント分野の物流状況に対する政府の評価は「出荷量が平時より90%以上急減」で同じだ。だが、1回目のスト6日目の6月12日に国土部は貨物連帯と第4次交渉を行い、2日後に合意に至った反面、2回目のスト6日目には業務開始命令という強硬姿勢を示した。
全国の港湾での物流状況は、1回目のスト当時よりむしろ良い方だ。6月12日の全国12の港湾装置率(港湾にコンテナが積まれている割合)は71.5%で、5月の平均の65.8%より高かったが、11月29日基準の装置率は62.9%で、10月の平均の64.5%より低い状況だ。港湾業界では、装置率が90%を超えると輸入貨物を積んできた船がコンテナを降ろすことができない非常事態とみる。貨物連帯が業務開始命令に応じないと明らかにしただけに、運送拒否品目や物量が増え、物流支障がかえって深刻化する余地もある。
この日午後、ユン・ヒグン警察庁長は全国の市・道警察庁長とテレビ会議を開き「セメント運送業務復帰拒否者などの捜査のために市・道警察庁に集中捜査チーム、警察署に専担捜査チームを構成し、速やかに捜査をしてほしい」として「背後勢力まで捜査し、業務開始命令の実効性を確保せよ」と指示した。
貨物連帯の指導部に対しても大々的な捜査が行われる見通しだ。公正取引委員会も貨物連帯が「事業者団体の禁止行為を行ったかを検討する」方針を発表した。公正取引法は事業者団体が所属事業者に対して運送拒否を強要したり、他の事業者の運送を妨害できないようにしている。貨物連帯を労組ではなく「事業者団体」とみなすという趣旨であるため、議論を呼ぶものとみられる。
パク・テウ、チェ・ハヤン、イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
11/30(水) 13:49配信
ハンギョレ新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/d52f5d4c6cf66e71b8ffa60b14679c03c83d4e4e